2011 Fiscal Year Annual Research Report
顕微レーザー誘起蛍光計測法を用いた冷却イオンのゆらぎ計測
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22540503
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荒巻 光利 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50335072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅慶 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (90163576)
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Keywords | 強結合プラズマ / イオントラップ / レーザー冷却 / ゆらぎ / 顕微LIF |
Research Abstract |
レーザー冷却によって生成した強結合プラズマは広い範囲でクーロン結合状態を制御できるため,気相-液相-固相の3相におけるプラズマの物性を詳細に研究するのに理想的な系である.しかしながら,レーザー冷却によって温度制御されたプラズマは非常に脆弱であり,その非破壊測定法の開発が求められている.これまで我々が開発した微弱プローブ光によるプローブレーザー誘起蛍光(LIF)スペクトル測定法では,冷却イオンのスペクトルを非破壊で測定し,イオン温度と内部素過程の変化について明らかにすることが出来た.しかし,イオン温度が100ミリケルビン程度よりも低くなると,LIFスペクトルのドップラー広がりと一様広がりの大きさが同程度となるため,スペクトル形状から情報を得る手法は適さなくなる.本研究では,プラズマ中の密度ゆらぎをLIF信号の強度変調として観測し,その統計解析より相転移近傍のプラズマの熱力学的物性を明らかにすることを目的としている.この場合,LIF強度のみが必要となるため測定可能な温度範囲の制限は無く,プローブLIF法と併用することでより広いパラメータ領域での実験が可能になる.平成23年度は,イオントラップの動作テスト、閉じ込めイオンのレーザー冷却実験を開始するとともに、顕微LIF測定のための拡大光学系の設計・制作を行った.また,顕微LIF実験の予備実験としてプローブLIF法を用いた気相-液相境界領域のプラズマ計測を行った.これにより,プラズマ内部の素過程の観点から見た場合,クーロン結合係数Γが0.1程度で既に強結合の効果が現れており,気相-液相の特徴的な変化を観測するには,よりΓが小さい領域でのプラズマの制御性を確保することが必要であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の交付申請書の計画通り,イオントラップの動作テスト,閉じ込めイオンのレーザー冷却実験を開始するとともに,顕微LIF測定のための拡大光学系の設計・制作を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は以下の計画で、顕微LIF測定を開始するとともに、LIF信号のゆらぎ解析手法の検討を行う。 4月-8月顕微LIF系の観測領域の確認および時系列データ蓄積系の構築 LIF信号をICCDカメラで観測することで観測体積の確認を行う。また、時系列データ蓄積系を構築する。 9月-12月顕微LIF実験 開発した顕微LIF測定系を用いて、弱結合-強結合境界領域でゆらぎ測定実験を行う。 1月-3月成果の取りまとめ データの解析および成果の取りまとめを行う。
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