2011 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギーインジウムイオンの照射による新規反応固体触媒の開発と触媒特性の評価
Project/Area Number |
22540506
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉村 智 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40294029)
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Keywords | イオン / インジウム / 触媒 |
Research Abstract |
近年、インジウムは数多くの産業において利用されている。化学分野では、インジウムとケイ素を組み合わせた新しい触媒が最近発見された。単体のインジウムまたはケイ素化合物には触媒特性がなくても、両者の相互作用により高い触媒活性が発現する場合があることが分かっている。しかしながら、この触媒には2つの難点がある。ひとつは溶媒中に溶解して合成されるため、やや面倒な分液操作や分離操作が必要なことである。2つめは、インジウムは希少金属であるにもかかわらず、この方法では使用後の触媒(インジウム)の回収が困難なことである。 本研究では、申請者のもつプラズマ技術を活用し、また有機化学者との連携により、これらの問題を解消したインジウム系触媒を開発すること、および得られた触媒の特性評価を行うことを目的としている。 本年度は、昨年度までに行ったインジウムイオンビーム生成技術を活用し、イオンビームを酸化ケイ素基板へと照射する実験を行った。昨年度までは、制御できるパラメータは、照射イオンビームのドーズ量(総注入イオン数)だけであったが、今年度は入射エネルギーを制御できるように改良した。これらのインジウム照射基板の表面状態をXPS,XRD,AFMを用いて解析した。その結果、基板表面にインジウムが存在していることを確認した。また、これら基板の触媒特性を評価した。実験の結果、触媒特性が入射エネルギーに強く依存する(触媒発現に敷居エネルギーが存在すること)を発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」は、(1)インジウムイオンビームの特性を検討する、(2)インジウムをケイ素系基板へ注入する実験を行う、(3)基板をX線回折などにより分析する、(4)触媒効果を検証する、(5)ゼオライトへの注入を試みる、の5つであった。(1)~(4)は達成できている。(5)については、注入には成功したが、触媒効果の発現には至っていない。このように、設定した課題のほとんどは成し遂げられており、研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで行ってきたインジウム-ケイ素系の組み合わせに加えて、インジウムに代わる他の金属(たとえば、ガリウムやビスマス)に関しても実験を行う。実験の進め方は、昨年度までに行ったインジウムにおけるやり方を踏襲すればよいので、研究計画の変更や問題点などは特に無いものと考えている。
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