2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540510
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
須田 義昭 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (20124141)
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Keywords | 有機EL / 極低温プロセス / パルスレーザ堆積 / FTIRスペクトル / 透明導電薄膜 |
Research Abstract |
本研究では、フレキシブル基板上への高分子型有機EL薄膜作製を目的とし、従来の作製法で問題であった有機EL材料の使用効率を改善し、また先駆体材料を必要とせず高分子型有機EL薄膜作製が可能なパルスレーザ堆積(PLD)法を用いた。このとき、薄膜の母材となるターゲットを液体窒素や液体ヘリウムにより冷却することで固体安定化させ、極低温プロセスによる有機EL薄膜の作製を行い、その効果を検討した。本年度は、まずターゲット冷却用の低温容器の設計・製作を行った。次に、この低温容器を用いて、PLD法による有機EL薄膜の成膜実験を行った。さらに代表的な低分子型有機EL材料であるAlq_3薄膜を作製し、液体窒素によるターゲット冷却有無と膜質の関係を調べた。またPLD法による透明導電薄膜作製を行い、有機EL素子の電極部としての利用可能性を検討した。結果は以下の通りである。 1、ステンレス製容器をベースとし、ターゲットの接着箇所には熱伝導度が高い銅を使用して作製した低温容器を成膜装置に設置し液体窒素を導入したときの表面温度は-125℃であった。 2、ターゲットの冷却有無に関わらず作製したAlq_3薄膜は、FTIR測定結果より、ターゲットとして用いたAlq_3粉体に含まれる分子構造と同一の構造であった。また、Nd:YAGレーザのフルエンス(エネルギー密度)を0.5~4J/cm^2で変化したとき、4J/cm^2で作製したAlq_3薄膜の堆積速度はターゲット冷却時に約8nm/sであり、冷却無しの2倍のスピードで堆積することから、レーザフルエンスが大きくなるとターゲットの冷却効果が現れることが示唆された。 3、透明導電薄膜においてITOの代替材料として近年注目を集めているアルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)薄膜の作製し、4J/cm^2、O_2ガス1Paの条件下で5.8×10^<-4>Ωcmの低抵抗率を有するAZO薄膜作製に成功した。
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