2010 Fiscal Year Annual Research Report
解難イオン同時計測電子エネルギー損失分光による空電子軌道イメージング
Project/Area Number |
22550002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邊 昇 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90312660)
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Keywords | 電子エネルギー損失分光 / 一般化振動子強度 / 電子励起状態 |
Research Abstract |
プラズマ中や大気中における化学反応の微視的な理解は、現代化学の中心課題の一つである。そうした反応の多くは、荷電粒子や光と分子との衝突による分子内電子の励起が引き金となる。電子エネルギー損失分光(EELS)は、こうした化学反応の出発点として位置づけられる電子励起状態をプローブする手法として用いられてきた。しかしながら、広範な移行運動量領域に亘る電子非弾性散乱断面積の測定が容易ではない等の実験的困難に加え、測定結果を解釈する手法が確立されていないことから、EELSが本来有するポテンシャルが十分に発揮されているとは言い難い。このような状況を打開し、より進んだEELS研究を展開するため、次の三つのことを試みた。まず、1)実験結果の定量的な解釈に利用するため、EELS断面積を高精度で計算する手法を開発するとともに、2)電子状態や電子励起ダイナミクスに関する情報を測定結果から抽出する手法の確立に向け、振電相互作用の寄与や多中心干渉効果について調べた。さらに、3)電子衝突時における標的分子の方向を規定した上で電子非弾性散乱断面積を測定する、謂わば"配向分子のEELS実験"を実現するための新規装置の開発にも取り組んでいる。1)と2)に基づきCF_4分子の価電子励起状態を詳細に調べた結果、光学禁制遷移の曖昧さ無い帰属や、3s Rydberg遷移を伴う電子非弾性散乱過程に現れる多中心干渉効果の解明に成功し、論文としてまとめた。さらに、3)で必要となる画像観測型の解離イオン分析器を製作している。本分析器を既存のEELS装置に組み込み、配向分子の実験を開始することは、次年度の課題である。
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[Presentation] Development of a highly sensitive 2π-type (e,2e) spectrometer2010
Author(s)
H.Satoh, M.Yamazaki, D.Jones, Y.Asano, N.Watanabe, A.Czasch, O.Jagutzki, R.Dorner, M.Takahashi.
Organizer
International Conference on Many Particle Spectroscopy of Atoms, Molecules, Clusters, and Surfaces
Place of Presentation
東北大学
Year and Date
2010-09-05
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