2010 Fiscal Year Annual Research Report
置換核酸塩基とその酸素錯体の励起状態と光線力学療法
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22550007
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| Research Institution | Aoyama Gakuin University |
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Principal Investigator |
鈴木 正 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30251606)
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| Keywords | 核酸塩基 / 励起状態 / 酸素錯体 / 緩和過程 / 光線力学療法 |
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| Research Abstract |
DNA/RNAを構成する核酸塩基の酸素原子または骨格炭素原子を硫黄原子または窒素原子に置換した核酸塩基は、その構造が通常核酸塩基によく似ているため、細胞内に効率よく取り込まれることが知られている。しかし、その励起状態の緩和過程は通常核酸塩基の超高速内部変換とは大きく異なり、励起三重項状態への項間交差であることを明らかにしてきた。その結果、効率よく活性酸素種を発生させ、がん治療などの光線力学療法への応用も検討されるようになった。したがって、これら置換核酸塩基の電子状態や励起状態の緩和・反応過程について詳細に調べることが重要である。特に、励起状態のポテンシャルや反応性における知見は、通常核酸塩基の励起状態緩和過程を理解するうえでも重要であると考えられる。本研究では、UVA領域に吸収波長をもつチオ置換核酸塩基に注目し、過渡吸収法、時間分解熱レンズ法、近赤外分光法、光検出光音響法を駆使して、励起状態の反応性および多光子吸収スペクトルの測定を行い、励起状態における知見を得た。これまで、チオ置換核酸塩基は高い項間交差量子収率をもち、溶存酸素分子による効率良く消光されるため、高濃度の活性酸素種を細胞内でも発生させているものと考えてきた。しかし、本研究によって核酸塩基による自己消光と反応、またチオール化合物との消光(反応)過程も存在することが初めて明らかとなった。このことから光反応によって細胞死を引き起こしている可能性も出てきた。また、より長波長の光で置換核酸塩基を励起できることが望ましい。本研究では、近赤外レーザー光照射によってチオ核酸塩基を励起できる可能性を示した。
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