2010 Fiscal Year Annual Research Report
マンガンイオンを活性中心に含む金属酵素の触媒機構に関する理論的研究
Project/Area Number |
22550010
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉岡 泰規 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00291451)
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Keywords | 金属酵素 / マンガンイオン / 酸素発生複合体 / Mn/Fe2核系 / リボヌクレオチド還元酵素 / 光化学系II / B3LYP / 自然軌道解析 |
Research Abstract |
光合成系のphotosystem IIの酸素発生複合体(OEC)では、X線構造解析のPDBid:1S5Lを基に、反応活性サイトであるMn_4O_4Caクラスターを中心にモデルを構築した。水分子の酸素2分子への4電子酸化反応のKokサイクルであるS_0,S_1,S_2,S_3状態に対して、S_0には(Mn-OH_2,Mn-OH_2)の配位子を、S_1とS_2には(Mn-OH,Mn-OH_2)の配位子を、S_3には(Mn-OH,Mn-OH)と(Mn=O,Mn-OH_2)の配位子を持つ構造の低スピン状態の構造最適化を実施した。水素結合が多く計算時間を要しているがほぼ収束に近い状態にある。S_0からS_1に遷移する際の中間体については構造最適が終了している。自然軌道解析からこの中間体の四つのMnイオンの原子価を同定することができた。構造最適化の途中ではあるが、S_0とS_1のMnイオンの原子価と比較すると、S_0からS_1への遷移に対し、酸化されるMnイオンを同定することができ反応点のMnイオンを予測することができた。この中間体の構造から二つの水素結合ネットワークが見出された。そのうちの一つは反応サイトからプロトンを除く経路であり、もうひとつは電子が反応サイトから除かれる経路に対応していることを解明した。これらの結果をさらに精査して学術論文として公開する計画である。 Mn/Fe2核系のリボヌクレオチド還元酵素(RNR)は、Fe/Fe-チロシルラジカル2核系RNRと異なって、電子の授受をチロシン残基ではなくMn/Fe2核がその機能を担っているとされている。本研究ではPDBid:3EE4を基に電子授受活性サイトのモデルを構築し、構造最適化を行った。触媒活性状態にあるMn(IV)/Fe(III)2核間の酸素原子はオキソであり、OHではチロシンがラジカルとなりOHでないことを明らかにした。
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Research Products
(9 results)