2011 Fiscal Year Annual Research Report
解離片の同時計測と実時間追跡による準安定イオンの生成・解離に関する研究
Project/Area Number |
22550014
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡田 和正 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90294511)
|
Keywords | 軟X線光化学 / イオン同時計測 / 準安定イオン |
Research Abstract |
内殻励起光化学の興味の一つは,分子の内殻励起に伴う特異な反応過程を詳細に調べ,これを積極的に活用することにある。分子の内殻電子の励起(内殻励起)後に並行して起こる,特異的解離という速度の速い反応とエネルギー緩和を受けた後解離する比較的遅い反応を実験的に区別して観測するとともに,それぞれの生成過程を解明することを本研究の目的とする。特に,解離片の同時計測に基づき,準安定解離イオン種の同定とその生成過程・解離挙動について詳細に探る。以下のことを実施した。 励起分子の解離により同時に生成する複数のイオンを記録できる「多重イオン同時計測法」を用いて,トリフルオロプロペンの内殻励起・解離実験を行った。この計測法では,デジタルコンバータからのイオン検出時間の情報をリストデータとしてパソコンに記録する。得られたリストデータから解離イオンの飛行時間相関スペクトルを作成することによって,様々な解離イオン対を同定することができた。興味深いイオン対として,フッ素原子あるいは水素原子が転位して生成するイオン種も確認された。それらの生成は炭素内殻領域において顕著であった。また,ある解離イオン対を表す「島」のなかにはテールを引くものが観察され,親分子から生成した二価の準安定イオンがさらに一価の解離イオン対に解離する過程を表しているものであることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重イオン同時計測による実験では準安定イオン種の検出・同定ができ,一定の成果が出た。しかし,パルス電圧印加実験については,検出器への電気的ノイズの低減策をさらに検討する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
多重イオン同時計測で得られた実験結果から反応過程の詳細な検討を進めるとともに,パルス電圧印加実験について検出器周辺の電気配線を変更してノイズを低減し,データ取得を目指す。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Dissociative photoionization of perfluorocyclobutane and cis-1,1,2,2,3,4-hexafluorocyclobutane2011
Author(s)
K. Okada, T. Nakashima, M. Sakai, A. Suemitsu, C. Huang, H. Yagi, H. Katayanagi, K. Mitsuke, K. Tabayashi
-
Journal Title
J. Phys. Conf. Ser
Volume: 288
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-