2011 Fiscal Year Annual Research Report
超並列フラグメント分子軌道法プログラムライブラリの開発
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22550015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲富 雄一 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 学術研究員 (70437747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞木 淳 財団法人九州先端科学技術研究所, 特任研究員 (10404047)
高見 利也 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (10270472)
小林 泰三 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 学術研究員 (20467880)
青柳 睦 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 教授 (00260026)
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Keywords | フラグメント分子軌道法 / 超並列化 |
Research Abstract |
フラグメント分子軌道(FMO)法では、計算を行う際に、モノマー密度行列と呼ばれる中間データを保存して、そのデータに対する参照・更新を多数回行う必要がある。この中間データは入力として与えられる計算対象分子の大きさに比例して増加するが、将来、数万~10万フラグメントの分子を扱う場合には、そのデータサイズが数10GBになると想定されることから、複数の計算ノードで分散保存する必要がある。そこで、大規模分子への対応、および、並列性能の向上の点から、並列FMO計算における中間データの分散保存の方法と、それに対する効率的なアクセス方法の検討を検討した。その結果、プログラミングの容易さ、という観点からはMPI-2規格などで実装されている片側通信機能を用いたほうが望ましいが、性能評価の結果、性能が非常に悪いことが判明した。一方で、中間データの保存や更新・参照などのアクセスへの対応を専門的に行うプロセス群を用意して、MPI-1規格でも実装されている1対1通信を用いる方法は、中間データ保存を行うプロセスと計算を行うプロセスの少なくとも2種類のプログラムを記述する必要があることなど、プログラミングの点からは好ましくないが、中間データへのアクセス性能が良いことが分かった。 また、モノマーやダイマーに対する電子状態計算で多くの計算時間を占める分子積分の負荷均等化を保つことが並列性能を向上させるための大きな要因となるため、分子積分コードに、精緻な負荷分散を行うための関数を追加した。 以上の成果により、数万~数10万並列でも効率的に動作する超並列FMOプログラムを作成するために必要な道具(モジュール)がほぼ、完成した。これらを用いて、超並列FMOプログラムを作成することで、巨大生体分子に対する第一原理電子状態計算を短時間で行えるようになり、創薬における候補薬物の絞り込みに計算機シミュレーションを適用することが可能になる、と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、大規模入力への対応や、超並列化に向けたコード作成を着実に行うことができている
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、FMOプログラムの超並列化に向けた作業を行っていく。その結果を情報系の学会や研究会に積極的に公開することで、FMOプログラムの高性能化に対するアドバイスを賜りながら、超並列FMOプログラム作成を達成する。また、創薬、あるいは、機能性分子の開発を行っている研究者と協力して、FMO計算のプロダクションランを行い、実際の計算で必要となる機能などを逐次追加することで、幅広い研究者が容易に使える計算機シミュレーションの道具にしていく。
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Research Products
(8 results)