2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀧上 隆智 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (40271100)
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Keywords | 表面凝固 / 分子混和性 / 表面剰余エントロピー / 理想混合 / 表面反射IR / 二分子膜 |
Research Abstract |
本研究では、表面凝固(SF)層形成に伴い出現が期待されるドメイン構造に着目し、その形成原理・安定性を決める因子を解明することを目的としている。今年度は、2種類の直鎖状アルコール混合系、1-ウンデカノール(C110H)-1-ドデカノール(C120H)混合系の表面張力測定による巨視的観点と赤外外部反射スペクトル(反射IR)測定による微視的観点から、SF層形成および表面における分子混和性の検討を行った。 両混合系の液体/空気表面張力を、液滴画像のラプラス式を用いたフィッティングにより決定する懸滴法により、また反射IRも大気圧下、温度と混合液体中のC12OHの組成の関数として測定を行った。得られた結果の解析から界面科学的に重要な以下の知見を得た。 (1)表面形成のエンロトピーは表面液体(SL)層-SF層転移に伴い正の値から大きな負の値へと不連続に変化し、SF層における分子の規則的な配向・配列が示唆された。また、SF層においてアルコール分子はヒドロキシ基間の水素結合によって安定化された二分子膜を形成することも明らかとなった。 (2)反射IR測定によるメチレンの非対称伸縮振動バンドの吸収波数からは、両アルコール分子はSF層において2次元固体様の密なパッキングにあることを突き止めた。 (3)表面剰余エントロピーは、前年度検討したC17-C18系と同様にSFおよびSL両層ではほぼOであり、C11OHとC12OH分子は表面において理想的に混和することが判明した。 (4)さらに、混合系表面で測定されたメチレンの非対称伸縮振動バンドの吸収波数は表面組成に対してほぼ一定であり、これが表面での理想混合の基準となる可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、界面張力(巨視的観点)と表面反射IR(微視的観点)測定を組み合わせることで、当初予定していた表面での理想混合の描像について知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、シンクロトロン放射光を用いた表面X線反射(XR)および斜入射X線回折(GIXD)測定を適用し、表面における分子配向・配列を定量的に決定し、理想混合のより詳細な描像を得るとともに、ドメイン形成が示唆されているアルカン-フルオロアルカン混合系の表面X線構造解析を推し進める予定である。
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