2011 Fiscal Year Annual Research Report
グラファイト型窒化炭素の構造と物性に関する電子状態シミュレーション研究
Project/Area Number |
22550019
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉本 学 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80284735)
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Keywords | グラファイト型窒化炭素 / 量子化学 / 計算化学 / 水分解反応 / 水素発生 / 光化学 / 電子状態 / 反応機構解析 |
Research Abstract |
金属元素を含まないにも関わらず光化学的水分解反応やフリーデル・クラフツ反応の触媒の触媒となることが知られているグラファイト型窒化炭素の構造と光物性、および反応性に関する電子論的研究を行った。本年度は特に光化学的水分解反応の反応機構を解析する目的で、反応素過程について検討した。その結果、水分子の物理吸着構造、OH結合が切断された化学吸着構造、およびこれらの吸着が起こる反応サイトが明らかとなった。水分解反応では犠牲試薬の存在下に水素が発生することが実験的に報告されている。本計算による解析結果から、水分子のOH結合が励起状態において切断されたあとに、プロトンが隣接するボイドに転位して犠牲試薬から電子を受け取り、水素が生成する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的としていたグラファイト型窒化炭素の構造最適化はほぼ終了している。光化学的水分解反応の反応機構解析については、重要な反応中間体の候補となる構造を見出すことができた。励起状態ダイナミクスの解析については、第一原理的なアプローチではなく、電子移動理論などに基づくモデル理論で実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に新たな安定構造や特異な幾何構造を予測することができた。今後これらの励起状態計算を行い、その電子的特異性を明らかにしたい。これまで明らかとなった反応中間体の構造とエネルギーから、光化学的水分解反応過程を記述するモデル理論を構築し、ダイナミクスに関する知見を得たい。
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