2012 Fiscal Year Annual Research Report
グラファイト型窒化炭素の構造と物性に関する電子状態シミュレーション研究
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22550019
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉本 学 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (80284735)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 光触媒 / 計算化学 / 反応機構 |
Research Abstract |
グラファイト型窒化炭素(g-CN)の構造と反応性を明らかにすることを目的として、電子状態理論を駆使した計算化学研究を実施した。g-CNは主に窒素と炭素からなる網目状高分子である。この材料の構造、物性、反応性については未だ不明の点が多い。構造については、メレム(2,5,8-triamino-tri-s-triazine)がモノマーであることは明らかにされているが、重合後の構造についてはグラファイト同様の平面構造とする報告や波打ち型の構造とする報告がある。本研究では、様々なサイズのオリゴマーモデルに関する構造最適化を行うとともに、振動スペクトル解析を行うことによって、波打ち型構造が安定であることを明らかにした。この構造をとる原因は、網目状構造に存在する空孔部分での原子間反発にあることも明らかとなった。計算機実験として、この空孔部分に様々なカチオンを配置して計算したところ、波打ち型構造からお椀型構造へと変化させることが可能であることを予測した。反応性については、水からの光水素発生の反応機構に関する検討を行った。励起状態や電荷分離状態に関する構造最適化を繰り返しながら、水分子の分子状吸着、OH結合を切断する解離吸着、生成したプロトンの分子内拡散、2つのプロトンの結合による水素発生などの反応素過程の活性障壁高さを評価した。これら一連の研究の結果、光化学的に水分子の直接分解を行うためには、少なくとも電荷分離によって局所的な酸化状態が形成されることが必要であり、プロトンカップリングによる水素分子の発生には拡散した電子が再び反応サイト近傍に戻ってくることが必要であることが明らかとなった。ただし、検討した反応素過程のほとんどにおいて反応の活性障壁が高く計算されており、必ずしも反応が容易とは結論できなかった。検討したものとは異なる反応機構の可能性もあることから、今後更に詳細な検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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