2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (40004452)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | π-σ* 軌道混合 / ビシクロブタン / 高周期14族元素化合物 / DFT計算 |
Research Abstract |
高周期典型元素化合物の特異な構造と結合の特徴を定性的に理解し、表現する一般性と予見性に優れた定性的理論を構築することを目的として、いくつかの特異な構造を持つケイ素および関連化合物の結合と構造の支配因子を明らかにする研究を継続した。前年度までに、(1)トリシラアレンの折れ曲がり構造の原因や(2)炭素―炭素二重結合周りが平面構造であるのとは異なり、ケイ素-ケイ素二重結合周りは、トランス折れ曲がり構造を取る原因として、π-σ* 軌道混合の重要性を指摘し、詳細に解析した。また、テトラシラビシクロ[1.1.0]ブタンの架橋ケイ素―ケイ素結合が異常に長くなる(すなわち、短結合異性体より長結合異性体が安定である)原因として、やはり、π-σ* 軌道混合に着眼し、DFT計算を用いてその重要性を明らかにした。今年度は、当初の計画通り、初年度に購入したワークステーションを用いて、その他の高周期元素を含むビシクロ[1.1.0]ブタン系、すなわち、1,3-ジシラビシクロブタンや1,3-ジシラ-2,4-ジアザビシクロブタン系に解析を拡張して、興味深い知見を得た。すなわち、我々は以前に、1,3-ジシラビシクロブタンの系では長結合異性体が安定であるが、そのアニオンラジカルでは置換基が互いにアンチである平面構造を取ることを実験的に明らかにしたが、この原因として、π-σ* 軌道混合の優先モードの違いによるものであることを、詳細なDFT計算によって明らかにした。また、1,3-ジシラ-2,4-ジアザビシクロブタン系でも同じ原理が働いていることを示した。これらの結果は高周期典型元素の構造化学の質的向上させ、高周期典型元素の特性を生かした新規物質の設計・創製や反応制御の指針を与えることに貢献するものと考えられる。高周期典型元素の構造論の体系化には至っていないが、一歩近づいたと思える。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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