2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550033
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
谷 敬太 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60207165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大北 英生 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50301239)
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Keywords | キラルカルバゾール誘導体 / カルバゾロファン / 不斉 / 光学分割 / CDスペクトル / シクロファン |
Research Abstract |
カルバゾール誘導体はイオン化ポテンシャルの小さい芳香族アミンに属することからドナーとして作用し、その高分子体であるポリ(N-ポリビニルカルバゾール)が光電導性を示すとともに青色の蛍光を発することから、「ホール輸送」と「発光」に優れた機能性材料として注目を浴びてきた。以上のような背景に基づき本研究では、カルバゾール発色団のカチオンラジカル状態ならびに励起状態の電子物性についてカルバゾール系シクロファン(カルバゾロファン)を用いて調べた。特にカルバゾール発色団における不斉を構造が堅固なカルバゾロファンを用いて詳しく検討することにした。 二架橋系カルバゾロファン([3.3](3,9)カルバゾロファン)の部分重なり型1、および完全重なり型2の合成を行い、これらを分離精製した。さらに、シアンアミドおよびニトロスルホンアミド架橋体において、部分重なり型をキラルカラムにより光学分割を行ったところ、いずれも二成分に分離できることがわかりた。この二成分のNRM,融点などの物性はすべて等しい一方、CDスペクトルではこれらが鏡像関係にあることがわかった。以上のことから、部分重なり型を有するシアンアミドおよびニトロスルホンアミド架橋体の光学分割に成功したと判断した。すなわち、二つのカルバゾール環がねじれて重なることにより、不斉が発現することを初めて実証できたと言える。興味深いことに、短波長側のコットン効果はΔεで200M^<-1>cm^<-1>を超える大きな値であった。現在、その絶対構造を決めるために単結晶X線解析を行っている。
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Research Products
(4 results)