2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子内アリル化を基盤とする海産毒シガトキシンおよびブレビシンの合成研究
Project/Area Number |
22550036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
門田 功 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30250666)
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Keywords | ポリ環状エーテル / 全合成 / 分子内アリル化 / シガトキシン / 海洋産天然物 / 閉環メタセシス / グラプス触媒 / アリルスズ |
Research Abstract |
本研究では、海洋産の渦鞭毛藻が生産するポリ環状エーテル類の量的供給および生理括性発現機構の解明を目的とし、その実用的な合成ルートの開発について検討した。これらの化合物は、イオンチャンネルに作用して様々な生理活性を示すことが知られており、その活性発現機構とともに、チャンネル研究のための分子フローブとしても注目されている。しかし、多くは超微量成分であるため、十分な研究が行われていないのが実情である。本研究では、ルイス酸による分子内アリル化反応とグラブス触媒による閉環メタセシスを組み合わせた収束的合成法を活用し、ポリ環状ユーテル類の効率的全合成を目指す。 まず、シガトキシンCTX3Cの合成について検討した。この化合物は、珊瑚礁海域で頻発する大規模な食中毒シガテラの原因毒である。文献記載の方法で合成したAB環部に相当するカルボン酸セグメントを文献記載の方法により合成した。8員環エーテルであるE環部セグメントについてはアルドール縮合および閉環メタセシスを用いた文献記載の方法に加え、新たにアリルスズとアルデヒドとの分子内縮合反応を洛用した立体選択的合成法の二種類の合成ルートを検討した。合成したAB環部カルボン酸セグメントおよびE環部アルコールセグメントをエステル縮合した後、数段階の操作を経て環化前駆体へと変換した。この化合物にルイス酸を作用させたところ、分子内アリル化反応が進行し、目的の環化体を良好な収率で得ることができた。得られた化合物に対してグラプス触媒を作用させて閉環メタセシスを行い、分子左側部分であるA-E環部を合成することができた
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