2011 Fiscal Year Annual Research Report
14族元素を含む新規アトラン型分子の合成と特異な電子系の発現
Project/Area Number |
22550037
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河内 敦 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70260619)
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Keywords | 14族元素 / アトラン分子 / ラジカル / 半結合 / スピン挙動 |
Research Abstract |
本研究では,[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]リチウムおよび{トリス[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]ゲルミル}ポタシウムという,当研究室で開発した2つの求核剤をbuilding blockとして,新規アトラン分子の構築を検討した。 (1)テトラヒドロピラン中,0℃で{トリス[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]ゲルミル}ポタシウムに過剰量のジメチルクロロシランを反応させた後,生成物をヘキサンから再結晶することにより,ジメチルシリルゲルマンを得た。一方,ゲルミルポタシウムとトリクロロシランとの反応では,予想に反してケイ素上のフッ素原子が塩素原子に置換されたヒドロゲルマンが得られた。 (2)ゲルミルポタシウムのケイ素類似体であるシリルポタシウムの合成を検討した。ジクロロシリレンーカルベン錯体と[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]リチウムとの反応では,新規なアリール(クロロ)シリレン-カルベン錯体が得られた。 (3)[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]リチウムに対して0.3当量の四塩化ケイ素をジエチルエーテル中-60℃で反応させた。^1H NMRスペクトルと質量分析から,ジアリール(クロロ)シランの生成を確認した。次に[o-(ジメチルシリル)フェニル]リチウムと四塩化ケイ素との反応を検討した。生成物をヘキサンから再結晶することにより,トリアリールクロロシランを単離した。これはオルト位に官能性シリル基を有するトリアリールケイ素化合物の初めての合成例となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,「研究実績の概要」に記載のとおり,[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]リチウムおよび{トリス[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]ゲルミル}ポタシウムという2つの求核剤をbuilding blockとして,これらと14族求電子剤との反応により新規な14族元素化合物の合成に成功している。これらを通して,反応設計の指針となる,反応性に関する基礎的な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,シラトラン分子の構築を目指して,[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]リチウムおよび{トリス[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]ゲルミル}ポタシウムとハロシラン類との反応を積極的に進めていく。特に近年開発されたジクロロシリレン-カルベン錯体を用いた反応を積極的に推進していく。生成物の還元反応,縮合反応についても順次検討していく。X線結晶構造解析,CV測定,分子軌道計算による物性評価もおこなっていく。
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Research Products
(9 results)