2010 Fiscal Year Annual Research Report
新世代の蛍光検出CDによるタンパク質立体構造の動的ピンポイント解析法の開発
Project/Area Number |
22550038
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
根平 達夫 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 助教 (60321692)
|
Keywords | 円二色性 / タンパク質 / 蛍光 / CD |
Research Abstract |
最近ようやく実用的となった新世代の蛍光検出円二色性(FDCD)測定装置を、初めてタンパク質に適用した。モデルタンパク質として、細胞環境に応答して明瞭な構造変化を示すカルモジュリン(CaM)を選び、以下の手順により様々な条件でCDおよびFDCDを測定した。 (1)山崎・石田と連携して、大腸菌にラットのCaMを発現させ、得られたCaMの表面に蛍光ラベルを導入してDNS-CaMへと誘導した。ラベル導入部位はペプチドマスフィンガープリンティング法によりLys77と同定した。このラベル位置は、CaMとペプチドの結合には影響しない。 (2)このDNS-CaMの溶液を用いて、カルシウムイオンや結合ペプチドを加えながら、CDおよびFDCDを測定した。結合ペプチドをハチ毒の主成分メリチンまたはCaMKll^<281-309>としたとき、相互作用によるタンパク質の三次構造変化に伴い、CDでは強度のみが僅かに変化したのに対し、FDCDでは広い波長範囲で波形と符号が明瞭かつ定量的に変化した。CaMと相互作用のないペプチドでは、CDが僅かに変化を示したのに対し、FDCDの変化は観測されなかった。 この結果は、FDCDが蛍光ラベルと芳香族アミノ酸残基との位置関係を観測していると考えると、矛盾なく説明できる。すなわち、一般にCDがタンパク質の二次構造を反映するので、FDCDは新しい立体構造解析法として、蛍光ラベル基を中心としたタンパク質の三次構造をピンポイントで解析できる可能性を示している。現在、FDCDの波形変化とタンパク質構造の関連づけを進めている。
|