2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550042
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
清水 敏夫 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (50192612)
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Keywords | クラウンエーテル / 不飽和環状化合物 / 分子修飾 / 包接挙動 / ホスト・ゲスト化学 / チアクラウンエーテル |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者が今まで研究してきた不飽和および飽和不飽和混合系チアクラウンエーテルの機能性材料への応用を目指し、分子修飾の足掛かりとして水酸基の導入を行い、それに伴う構造や性質の変化を調べた。 その結果、シスーエテンジチオラートとエピプロモヒドリンとの反応により、ジエポキシ化体を合成し、それに続く段階的な反応により全ての二重結合がZ体で水酸基を二つ有する14員環飽和不飽和混合系チアクラウンエーテルと水酸基を四つ有する28員環飽和不飽和混合系チアクラウンエーテルの合成に成功した。また、この反応では、溶媒の種類や濃度により生成物の割合が変化することがわかった。これらの内、シスおよびトランス14員環化合物および隣接する水酸基がトランス関係にある28員環化合物のX線結晶構造解析に成功し、結晶構造を明らかにすることができた。トランスの14員環化合物と28員環化合物の分子構造は、水酸基を持たない対応する化合物に近い構造をしているが、いずれの化合物も水酸基をもっているため、パッキングにおいては隣接分子と水素結合をしていることが確認された。また、トランスの14員環化合物では、導入した水酸基の酸素原子が他分子の5個の酸素原子と共に水素結合を介して6員環状に集まった興味深い構造をしていることがわかった。シスおよびトランス14員環化合物の熱安定性を検討したところ、溶媒中100度で、二重結合の異性化がおこり、どちらの場合にもZ,EおよびZ,Z体が生成することがわかった。このように、飽和不飽和混合系チアクラウンエーテルに水酸基を導入することに成功し、分子修飾できることを明らかにできた。
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