2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規な概念「擬似分子内反応」を用いた高効率な合成手法の開発
Project/Area Number |
22550043
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
西脇 永敏 高知工科大学, 工学部, 教授 (30237763)
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Keywords | 擬似分子内反応 / 高効率反応 / ヒドラゾン化 / ジアゼピン / ピリダジン / ニトロソ |
Research Abstract |
擬似分子内反応という新規な概念を用いて、高効率な合成への展開を図った。 基質として、酸性度の高い水素を有するα-ニトロ-δ-ケトニトリルを用いて、ヒドラジン類との反応を行なった。実際にヒドラジン類を室温で作用させたところ、即座にヒドラジニウム塩が形成されることを^1H NMRにより確認した。本研究では、このヒドラジニウム塩を用いて変換反応を行なったが、用いるヒドラジンの種類によって異なったタイプの環骨格を構築できることも明らかにした。 まず、ヒドラジン-水和物を用いた場合には、ジアゼピンが得られることを見出した。本反応ではヒドラジニウム塩から遊離したヒドラジンが近傍のカルボニル基との間で擬似分子内反応をすることにより中間体ヒドラゾンが生じ、続いて分子内でのシアノ基への求核付加により生成したと推測される。 一方、芳香族ヒドラジンを用いた場合には、上記の反応が抑制され、ヒドラゾン中間体を単離することに成功した。こうして得られたヒドラゾンはDMSO中で加熱することにより、ピリダジン誘導体に変換できることも明らかにした。 擬似分子内反応が、ヒドラゾン化を無触媒下で効率良く進行させることを明らかにした。今後、本概念が、従来法では合成が困難であった多官能化合物を合成するための手法としての幅広い利用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
擬似分子内反応の概念が、種々の基質に適用できることを明らかにできている。その結果、他法では合成が困難な多官能化合物を簡便にかつ効率良く合成することに成功している。今後、さらに基質の適用範囲を広げることができれば、合成化学的な有用性はさらに高まると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本概念の特徴は、分子間反応でありながらあたかも分子内反応のように高効率で進行するということである。 この特徴を活かすためには、一般に非効率と言われる反応に適用することが重要になる。そこで、中・大員環の合成に応用することを検討する。また、擬似分子内反応で進行していることを証明するために、速度論的な解析も行なうことを予定している。
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Research Products
(7 results)