2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550049
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
張 浩徹 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (60335198)
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Keywords | 金属錯体 / 光融解 / 原子価互変異性 / パルス光 / 結晶化 / 電子移動 / 準安定 / 励起状態 |
Research Abstract |
平成22年度からの研究により室温における光融解・結晶化を実現し目標を達成した。本研究では、[Co(3,6-DTBQ)_2(C12Opy)_2]錯体のls-[Co^<III>]を含む紫色薄膜(20μm)試料は303Kにおいてone-shotの523nmレーザー光照射により光バルク融解し緑色のhs-[Co^<II>]液体を与えた。融解した液体は1.9秒の半減期で結晶化し再び紫色ls-[Co^<III>]を与える。言い換えるならば光により分子状態並びにその集積状態を一電子移動により制御できたと言える。興味深いことに299Kにおいて266mJ/cm^2・pulseの光照射よっては光融解せず、明らかなthresho1dを有する光誘起現象であることを示した。この光融解は熱的融解が生じる368Kまでの幅広い領域で生じることも確かめ、実験温度により光量に閾値が存在すること、融解から自発的に結晶化が起き、その結晶化速度が実験温度に依存することも見いだした。本研究では、本光融解・結晶化過程の機構を探索すべく3Kにおける光照射実験も行った。3Kにおいて測定された薄膜の吸収スペクトルは、ls-[Co^<II>]に特徴的なIVCT吸収帯を2500nm付近に示し、10,50,100,159,186,2l3,266,及び372mJ/cm^2・pulseの逐次照射によるIVCT吸収帯の減衰がみられ、光によるhs-[Co^<II>]の生成が確認された。興味深いことに、この光誘起VTは186mJ/cm^2・pulseに閾値を有し、光によるhs-[Co^<II>]の発生が証明された。この光発生したhs-[Co^<II>]は13時間後も維持されていた。更にこの光発生hs-[Co^<II>]は続く3Kからの加熱によっても容易に緩和せず、250K付近までその安定性を示した。これは過去の例を大幅に凌駕する熱安定性であり、光による励起種のトラップに成功したといえる。
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[Journal Article] Chromic Behaviors of Hexagonal Columnar Liquid Crystalline Platinum Complexes with Catecholato, 2-Thiophenolato, and Benzenedithiolato2011
Author(s)
H.-C.Chang, K.Komasaka, K.Kishida, T.Shiozaki, T.Ohmori, T.Matsumoto, A.Kobayashi, M.Kato, S.Kitagawa
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Journal Title
Inorganic Chemistry
Volume: 50
Pages: 4279-4288
DOI
Peer Reviewed
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