2010 Fiscal Year Annual Research Report
貴金属ナノ微粒子担持炭素材料調製法のブレイクスルー<錯体化学的アプローチ>
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22550054
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂本 政臣 山形大学, 理学部, 教授 (20036445)
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Keywords | パラジウム / シュウ酸錯体 / パラジウムナノ微粒子 / パラジウム・カーボン / 触媒 / フェノールの水素化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、配位化合物の特徴を巧みに引き出すことによって、有機溶媒や余分な還元剤を使用せずに「貴金属ナノ微粒子あるいは貴金属合金ナノ微粒子を均一に担持した炭素材料の簡便かっ効率的調製法の確立」をめざすことである。具体的には、(1)「自己酸化還元能を有するシュウ酸錯体」を用いて、パラジウム、ロジウムなどの貴金属ナノ微粒子(以下、Pd/C、Rh/Cと略)および貴金属合金ナノ微粒子を担持した炭素材料を、簡単に調製できる新しい手法を提案すること、(2)調製した貴金属ナノ微粒子および貴金属合金ナノ微粒子担持材料の触媒特性を評価して、本調製法の実用化の可能性について検討することである。初年度の22年度では、21年度までの予備実験で得られたPd/Cの調製に関する結果を詳細に検討し、Pd/Cを簡単に調製できる新しい方法を確立することができた。本研究で確立した方法では、パラジウム(II)のシュウ酸錯体である(NH_4)_2[Pd(C_20_P4)_2]-2H_20の水溶液に活性炭粉末を浸漬した後、空気中200℃で熱処理するだけでよい。また、一般的な従来法とは異なり、特別な還元剤を使用せず、配位子であるシュウ酸イオンの還元能を利用する。このシュウ酸イオンは、最終的には、二酸化炭素として系外に放出されるので、他の還元剤のように分離・除去操作の必要がなく最も効率的で自然にやさしい還元剤である。さらに、調製したPd/Cのフェノール水素化反応における触媒能を調べた結果、予備実験のとおり、市販のPd/Cに比べて、繰り返しの使用が可能であった。TEM観察の結果、市販のPd/Cは、一回の使用でPdナノ微粒子の焼結がかなり進んでサイズが大きくなっているのに対し、本法のPd/Cでは、数回の繰り返し使用後でも微粒子の焼結がほとんど認められなかった。本研究により、耐久性に優れたPd/Cの簡便な調製法を確立できた。
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Research Products
(2 results)