2011 Fiscal Year Annual Research Report
貴金属ナノ微粒子担持炭素材料調製法のブレークスルー<錯体化学的アプローチ>
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22550054
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂本 政臣 山形大学, 理学部, 教授 (20036445)
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Keywords | パラジウムナノ微粒子 / ロジウムナノ微粒子 / パラジウム・カーボン / ロジウム・カーボン / 触媒 / フェノールの水素化 |
Research Abstract |
貴金属ナノ微粒子を担持した炭素材料の調製には、従来から有機溶媒や還元剤を使用する方法が主流であり、環境にやさしい方法とは言い難い。そこで、本研究では、有機溶媒や余分な還元剤を使用せずに、「貴金属および貴金属合金ナノ微粒子を均一に担持した炭素材料の簡便かつ効率的調製法の確立」をめざす。具体的には、(1)錯体化学では周知の「自己酸化還元能を有するシュウ酸錯体」を用いて、パラジウム、ロジウムなどの貴金属ナノ微粒子担持炭素材料(以下、Pd/C、Rh/Cなどと略す)を簡単に調製できる手法を提案すること、(2)調製した貴金属ナノ微粒子担持炭素材料の触媒特性を評価して、本調製法の実用化の可能性を探ることである。初年度の22年度では、パラジウムのシュウ酸錯体((NH_4)_2[Pd(C_2O_4)_2])を水溶液中で生成させ、この水溶液に活性炭粉末を入れ、撹搾・ろ別した後、空気中200℃で熱処理することによって5wt%Pd/Cを調製することができた。 本年度は、22年度と同様の方法でロジウムのシュウ酸錯体((NH_4)_3[Rh(C_2O_4)_3])を水溶液中で生成させ、これに活性炭粉末を入れることによって5wt%Rh/Cの調製を試みた。しかしながら、この方法では、ロジウムの担持を確認することができなかった。調製した試料を触媒として用いてもフェノールの水素化がほとんど進行しなかったことからも担持されていないものと思われた。そこで、(NH_4)_3[Rh(C_2O_4)_3]の水溶液に活性炭粉末を入れ、これを乾燥した後、200℃で熱処理して5wt%Rh/Cを調製した。この試料のTEM観察、EDS分析をした結果、粒径が3nm程度のロジウムナノ微粒子が活性炭上に分散していることがわかった。この5wt%Rh/Cを触媒として、フェノールの水素化を行った結果、60分でフェノールの反応率はほぼ100%であった。今回調製した5wt%Rh/Cの触媒能を前年度の5wt%Pd/Cと比較すると、60分後のフェノール反応率は今回の5wt%Rh/Cを触媒として用いるほうが高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(22年度)の段階で調製するまでに至らなかったRh/Cを調製することができた。さらに、フェノールの水素化触媒としては、Pd/Cよりも反応率を高める効果が高いことを示唆する結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度のPd/Cの調製法と同様の方法でRh1Cを調製することができなかったので、今年度は、水中における(NH_4)_3[Rh(C_2O_4)_3]の濃度を変化させるなど、Rhの担持条件をもう少し詳しく検討する。また、保護分子を用いて予めPdナノ微粒子を合成し、そのナノ微粒子を活性炭に吸着させてPd/Cを調製することを試みる。このようにして調製したPd/Cの触媒能を、これまでに確立できたシュウ酸錯体を用いる方法で調製したPd/Cと比較する。 さらに、PETなどのフレッキシブル基板上に貴金属ナノ微粒子担持炭素の薄膜を形成させた薄膜触媒を作製し、新しい薄膜触媒材料を開発する手がかりとする。
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Research Products
(1 results)