2012 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合によるポリ酸アニオン会合体の安定性に与えるイオン対形成の影響
Project/Area Number |
22550056
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
尾関 智二 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (60214136)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ポリオキソメタレート / 水素結合 / イオン対 / 自己集合 / 分子認識 |
Research Abstract |
研究代表者は、水素結合により自己会合したポリ酸アニオンの質量分析に世界に先駆けて成功した。その際に検出されたアニオン会合体の中に、アニオンの負電荷を上回る数のカチオンと結合することにより、正に帯電したイオン対として検出されたものが見られたことに着想を得て、イオン対形成が水素結合による弱い相互作用での分子会合を安定性化するという仮説を立てた。本研究は、デカバナジン酸をプローブとして、この仮説を検証することを目的とする。平成24年度においては、水素結合に関与するプロトン数を変化させたときの会合構造変化を解明するため、酢酸およびトリフルオロ酢酸を加えた系について、X線小角散乱および51V NMRを用いてデカバナジン酸の会合状態を検討した。X線小角散乱においては、散乱曲線から求めた回転半径を元に、51V NMRにおいては、これまでに蓄積した知見にもとづいてスペクトルを解釈することにより、デカバナジン酸の会合状態を推定した。その結果、トリフルオロ酢酸の場合には、デカバナジン酸に対しておよそ5倍量加えた時点で回転半径の変化が完了するのに対し、酢酸を用いた場合には回転半径の変化が完了するまでにデカバナジン酸に対しておよそ1500倍量を加える必要があることが明らかになった。また、変化後の回転半径は、アセトン-ジオキサン系において我々が過去に報告した単量体の値に比べて有意に大きかった。そこで、酢酸大過剰の条件下で結晶化を行ったところ、デカバナジン酸二量体に酢酸2分子が水素結合した複合体が、更に酢酸二分子により連結された無限鎖状構造が見いだされた。このような複合体の存在が、回転半径の違いに反映されていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)
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[Book] ハウスクロフト無機化学2012
Author(s)
巽和行,西原寛,穐田宗隆,酒井健 監訳,穐田宗隆,石井洋一,石田斉,上野圭司,尾関智二,加藤昌子,酒井健,棚瀬知明,坪村太郎,西原寛,長谷川美貴,水田勉 訳
Total Pages
1060
Publisher
東京化学同人