2011 Fiscal Year Annual Research Report
2つの金属を内包したリンマクロサイクルを利用する二酸化炭素の還元反応
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22550061
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水田 勉 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70221603)
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Keywords | 大環状リン配位子 / Cu(I)2核錯体 / Ag(I)2核錯体 / ビピリミジン / 包接 / 協働的相互作用 |
Research Abstract |
大気中へのCO_2の排出削減は、人類にとって危急の課題であり、化学分野の担う役割が大きいことは言うまでもない。CO_2を炭素資源として化学変換する方法に、水素による還元がある。本研究では、複数のH_2を活性化できる金属錯体触媒の開発を目標とし、得られるポリヒドリド金属錯体を使ってCO_2をメタノールに変換することを目指す。本課題においては、新規に開発した大環状2核錯体を用いて、両金属上への水素の導入反応条件の検討、および生じるポリヒドリド錯体を用いたCO_2との反応を調べることを第一の目標とする。第2にこの結果を踏まえて、触媒反応化のための条件検討を行う。第3に、これら基礎的データを基に配位子骨格の改良および、他の金属中心を用いることへと展開を図る。既に合成法を確立している大環状配位子に対して、2つの白金中心を導入し、次いでヒドリド錯体への変換およびCO_2との反応の検討を行う。この結果を踏まえて触媒反応化を目指す。 前年度の研究において、白金錯体を合成したが、残念ながら白金錯体ヒドリド錯体の熱的安定性が不足しており、金属を11族に変えることにした。Cu(I)とAg(I)を用いて錯体合成を行ったところ、どちらの金属でも2核錯体の合成に成功した。これらの金属のイオン半径は、白金よりも小さいことから、大環状内空間が白金の場合よりも大きくなっており、CO_2の還元に適さない可能性もある。そこで、ビピリミジンを基質に用いて、大環状内に内包された2つの金属によって取り込み可能かどうか調べた。その結果、Ag(I)では、理想的な四面体配位環境を形成しながら、ビピリミジンが取り込まれた。一方、よりイオン半径の小さいCu(I)では、環が捻じれるように歪むことで取り込みを可能としていた。このことより、両金属は協働的に基質と相互作用できることが判ったのでこれらの金属のヒドリド種を合成しCO_2の還元を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初用いることを予定していた金属の錯体の熱的安定性が不足していたため、金属種の変更を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに、導入したCu(I)錯体は、熱的にも安定でまたCO2の還元反応例もあるので、ギ酸よりもさらに還元された生成物を与えると期待している。
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Research Products
(3 results)