2011 Fiscal Year Annual Research Report
多重水素結合無機―有機複合モジュールを用いた一次元階層構造の構築
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22550067
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
川田 知 福岡大学, 理学部, 教授 (10211864)
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Keywords | 多重水素結合 / 一次元階層構造 / 複合モジュール / メラミン誘導体 |
Research Abstract |
本研究は、材料化学において改めて注目されている一次元性階層構造を、DNAに倣った多重水素結合を埋め込んだ無機-有機複合モジュールをビルディングブロックとして構築する物質創製研究である。特殊な水素結合を組み込んだ階層構造の相互作用系研究は現在までほとんど知られていない。そこで本研究では、上記多重水素結合金属錯体-有機物モジュールを用いて一次元性階層構造を構築する。 23年度は、一次元階層構造の構築を行った。申請者はこれまでに、銅(II)とテトラヒドロジオキソピラジンジカルボニトリル(H_2tdpd)とメラミン誘導体を用いて、AAA-DDDタイプの三重水素結合により繋がれた金属錯体-有機物ハイブリッドモジュールの合成に成功している。23年度は、この合成法を参考にして酸化還元が可能な様々な金属イオン(コバルト、ニッケル、マンガン)とメラミン誘導体を用いて出発モジュールを合成した。水を溶媒としニッケル(II)を金属イオンとして用いた場合、上下に水が配位したモジュールが得られた。このモジュール上の配位水は、温度上昇に伴いメラミン誘導体の置換基の運動に連動して脱離することが明らかになった。さらに、これらモジュールをピラジンあるいはビピリジンで架橋した一次元鎖錯体の構築に成功した。また、メラミン誘導体を用いない場合、金属(II)-tdpd錯体がピラジンあるいはビピリジンで架橋された一次元鎖錯体が溶媒を介した多重水素結合で結ばれた集積体の構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銅以外の金属イオン(コバルト、ニッケル、マンガン)を用いた出発モジュールの合成に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、有機無機複合モジュールをビルディングブロックとする一次元階層構造とその酸化あるいは還元体の構築を行う。複合モジュールの特殊な酸化状態を達成するため電解合成を試みる。その際、金属イオン、メラミン誘導体、メレムの酸化還元電位に相当する電位により電解合成を行う。
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Research Products
(5 results)