2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内金属イオン検出のための新規な蛍光共鳴エネルギー移動型化学センサーの開発
Project/Area Number |
22550068
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
川上 淳 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60261426)
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Keywords | 金属イオン / 蛍光共鳴エネルギー移動 / 蛍光性化学センサー / 2-アミノトリプタンスリン / 超分子化学 |
Research Abstract |
ピレンをエネルギードナー(D)、2-アミノトリプタンスリンをエネルギーアクセプター(A)とし、DとAをペンタエチレングリコールで繋いだ新規蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)型化学センサーを合成し、FRETのon,offを利用した金属イオンの蛍光センシングについて検討した。その結果、金属イオンに対する応答性は、吸収・発光挙動から、以下の4グループに分類できることがわかった。 1.〔Al^<3+>,Ni^<2+>,Hg^<2+>,Cd^<2+>〕,2.〔Cu^<2+>,Fe^<2+>,Fe^<3+>〕,3.〔Pb^<2+>,Ca^<2+>,Ba^<2+>〕,4.〔Ag^+,Zn^<2+>,Co^<2+>,Mg^<2+>〕3と4は、不規則或いは顕著な蛍光変化を示さなかったが、1と2は、吸収スペクトルの変化の仕方に違いがあるため錯形成の様式は異なるものと予想されるが、Aの蛍光減少とDの蛍光増加、即ちFRET-onからFRET-offへの変化が観測された。中でもHg^<2+>,Fe^<2+>,Cu^<2+>に対しては、Aの蛍光の消失とDの蛍光の増大が顕著であった。Hg^<2+>やCu^<2+>に対しては、蛍光団から金属の空のd軌道への電子移動により蛍光消光が観測されるのが一般的であるが、これら金属イオンを捕捉することで、Dのピレン蛍光が増大したことは、報告例の少ないHg^<2+>やCu^<2+>に対する蛍光"発光"センサーとして応用できるため、注目すべき結果と言える。 また、現在DとAを繋ぐスペーサーの長さの異なる系や、Dをピレンから植物由来のウンベリフェロン(7-ヒドロキシクマリン)に替えた系についても合成中である。
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Research Products
(8 results)