2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポリエーテルによる包摂とイオン会合との相乗効果に基づく水系分離分析法の開発
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22550075
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高柳 俊夫 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (50263554)
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Keywords | 分離分析 / キャピラリー電気泳動 / ポリエーテル / ミセル / クラウンエーテル / テトラフェニルボレート |
Research Abstract |
本研究は,水系溶媒中におけるポリエーテルの分子認識能に焦点をあて,単分子系ポリエーテルと分子集合体系ポリエーテルによる包接現象を対象として,キャピラリーゾーン電気泳動における分離選択性の発現因子の解明を目的とするものである.これまでに,ポリエーテル系非イオン界面活性剤ミセルへの陽イオン種の結合反応について,結合定数の値,メチレン鎖長に起因する疎水性増加の効果とも,陰イオン種と比較して弱いことを明らかにしている. 本年度の砺究では,イオセ会合試薬として用いられるテトラフェニルボレート系陰イオンに関して,ポリエーテルであるクラウンエーテルによる包接も含めたアルカリ金属イオンとのイオン会合平衡を検討した.クラウンエーテルによるアルカリ金属イオンの包接現象に基づく疎水性増加により,テトラフェニルボレート系陰イオンめイオン会合性は増加した.この研究の過程において,テトラフェニルボレート類が水溶液内でのイオン会合反応に伴い分解する現象を見出し,疎水性の高い陽イオンで特に分解が促進された.これまでに酸性領域でのテトラフェニルボレート類の分解は報告されているが,イオン会合反応に伴う分解現象は新たな発見である. また,キャピラリー電気泳動法による分離分析の特徴を活用した平衡反応解析では,酸性領域で徐々に分解する酸塩基指示薬の酸塩基平衡においても,副反応である分解反応が共存する中で,主反応である酸解離平衡の解析が可能であることを見出し,テトラブロモフェノールフタレイン,テトラブロモフェノールフタレインエチルエステルの酸解離定数の決定に成功している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定装置の経年劣化による故障と修理,年度の途中での大学間の異動,の不測の事態が生じたが,ポリエーテル系界面活性剤ミセルの分配反応場としてのイオン性物質に対する選択律の解明,クラウンエーテル包接錯体によるイオン会合反応に関する研究は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
テトラフェニルボレート類のイオン会合反応を取り扱う研究の過程で,徐々に進行する速度論的反応が共存する平衡反応系においても,キャピラリー電気泳動法の均一溶液系での分離分析の特長を活用して,速度論反応の影響を受けずに主反応である平衡解析が可能であることを見出した.速度論的反応の促進/抑制に及ぼすポリエーテルの効果,主平衡反応への影響に関して研究を推進する予定である.対象とする反応系としては,酸解離平衡,イオン会合平衡を主平衡とし,分解反応が速度論的な副反応となる反応系を予定している.
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Research Products
(13 results)