2011 Fiscal Year Annual Research Report
全物質を対象に超高感度な光干渉を利用した汎用化学計測システムの開発
Project/Area Number |
22550077
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉留 俊史 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 准教授 (60253910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 盛秀 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10128077)
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Keywords | 光干渉 / 屈折率 / 高感度 / 全物質 |
Research Abstract |
試料の屈折率をモニターすることで全ての物質を計測対象とし、光の干渉現象を利用することで超高感度を実現する汎用の化学計測法を構築することを目指す。光干渉を利用する諸計測法は超高感度であるが、「屈折率を一意に決められない」、という大きな課題がある。本研究ではこの課題に対して、3つのアイデアを提案し、計算と実験によってこれを検討解決して目的を実現していく。H23年度の実績は交付申請書に沿って以下のとおりである。 ・干渉縞の揺らぎの原因を工事等による振動と推測し、これに留意して実験したが改善は見られなかった。そこで、参照信号を同時に測定して揺らぎをキャンセルする手法を新たに試みた結果、信号を検出するのに成功した。これは屈折率を一意に得る新規な以下に述べるアイデアの創出(干渉縞計数法:仮称)で可能となった。さらに、屈折率の推移を確実にモニターするために、強度ではなく位相を信号とすることとし、そのために空間的に生成させた干渉縞を利用する、という新たな手法も創出した。この2つの新しい試みを合わせて(位相計数法:仮称)実現する装置を試作した。 ・屈折率を一意に得る第1のアイデア、すなわち試料セルの厚さを変化させる手法(多光路長セル)の模擬実験を試みる計画であったが、これを一時保留して上記の位相計数法の実験を推進した。 ・屈折率を一意に得る第2のアイデア、すなわちニュートンリングの利用、および第3のアイデア、すなわち光ファイバーとグースヘンシェン偏移の利用、の計画も、これらを一時保留して上記の位相計数法の実験を推し進めた。 ・位相計数法の成果について以下に簡単に述べる。まず干渉縞計数法は、例えば溶媒から対象試料へと濃度などが変化する場合を想定すると、それによる屈折率の変化にしたがって干渉縞も変化するので、それを計数することで対象試料の屈折率を知るというアイデアである。位相計数法は空間的に生成させた干渉縞を利用して直接に位相を計数するものである。H23年度はスクリーンに干渉縞を投影し、試料を変化させたときの縞の変化を写真撮影・解析して位相変化を得るという基礎実験を行った。水にエタノールを加えて濃度を変化させると、位相が直線的に変化する様子が検出でき、検出限界まで求めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・実験上の大きな困難であった干渉縞の揺らぎが、参照信号を同時に測定してこれをキャンセルする手法でおよそ克服できたこと。 ・上記困難の克服が契機となって、屈折率を一意に得る当初の3つのアイデアよりも新規なアイデアが創出できたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度は、位相計数法を模擬的に行った。すなわち、スクリーンに干渉縞を投影し、試料を変化させたときの縞の変化を写真撮影・解析して位相変化を得た。水にエタノールを加えて濃度を変化させると、位相が直線的に変化する様子が検出でき、検出限界まで求めることができた。 H24年度は、まず位相計数法を推し進めて、その可能性を予測する。写真撮影というバッチ式でなく、CCD検器をPCに接続して、信号を実時間で取り込み解析できる装置を試作する。その後当初の3つのアイデアもその性能等を予測する基礎実験を行い4つのアイデアを比較して論じる。
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Research Products
(6 results)