2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチップ検出器を用いる界面活性剤のクロマトグラフ法の自動化
Project/Area Number |
22550080
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
正留 隆 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (30190341)
|
Keywords | 界面活性剤 / 界面活性剤イオンセンサ / マイクロチップ分析 / ポリスチレン板 / ワイヤーインプリント法 / シーケンシャルインジェクション分析 / 濃縮カラム |
Research Abstract |
1.目的 今年度は、高性能な微小陰イオン性界面活性剤(AS)イオンセンサを組み込んだマイクロチップ検出器(MD)を用いるASのシーケンシャルインジェクション分析(SIA)法を検討した。 2.実験 SIAシステムは、2台のシリンジポンプ(SP)、ホールディングコイル(HC)、6ポートセレクションバルブ、MD、イオンメータ(IM)、記録計およびパーソナルコンピュータ(PC)からなる。キャリヤー溶液及び試料溶液の送液は、SPとSVをPC制御して行った。試料溶液には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NaDBS)溶液を、キャリヤー溶液には1×10-^2M LiBrを含むpH4.0緩衝溶液を用いた。まずSIA IIのHCにキャリヤー溶液を満たした後、空気、試料溶液の順に吸引を行った。この試料溶液を濃縮カラム(CC)に一定量送液し、CC内に試料溶液を吸着させた。吸着後の溶液を廃棄した後、SIA IのHC内をキャリヤー溶液で満たし、続いて空気と溶離剤であるアセトニトリルを吸引した。その後アセトニトリルをCCに送液し、吸着させた試料溶液を溶離させた。この溶離溶液をSIA IIのHC内でキャリヤー溶液と拡散混合させMDに送液し、試料溶液導入後のASセンサとAg/AgCl電極間の電位差を、IMによりピーク状信号として測定した。 3.結果 および考察ASの濃縮率に及ぼすCCへの送液速度の影響を検討した。10^<-6>M NaDBS溶液1250μLをCCに濃縮させ、75wt%アセトニトリル62.5μLで溶離させた。分析時間を考慮してMDへの送液速度として20.8μL/sを用いた。次にASの濃縮率に及ぼすCCへ導入する試料溶液の体積の影響を検討した。種々の体積の10^<-6>M NaDBS溶液をCCに濃縮させ、75wt%アセトニトリル62.5μLで溶離させた。NaDBSの濃縮倍率を理論的濃縮率と比較した結果、MDの試料溶液導入体積を2500μLとした。以上の条件下において、開発したSIA法により、CCを用いることで、1×10^<-7>M~3×10^<-6>Mの濃度範囲のASが濃縮、溶離の時間も含めて1試料当り15分の分析速度で自動分析できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発したマイクロチップ検出器を用いるシーケンシャルインジェクション(SIA)法を用いて、試薬液の組成、濃度およびpHや試薬液のホールディングコイルへの注入量,送液速度などを検討して、界面活性剤の定量のための最適条件を見いだした。また、開発したマイクロチップを検出器とし、SIA法によって、廃水や河川水中の陰イオン性界面活性剤を定量できることが分かった。以上のことにより、研究の目的の達成度はおおむね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究において、開発したマイクロチップを検出器として用いるシーケンシャルインジェクション法による環境水中の界面活性剤の自動分析を行う予定である。すなわち、開発したマイクロチップを検出器とし、市販モノリスカラムを用いるシーケンシャルインジェクション法によって、廃水や河川水中の陰イオン性界面活性剤の分離定量を行い、従来法であるメチレンブルー法および高速液体クロマトグラフ法で得られた結果との比較を行う。
|
Research Products
(6 results)