2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール大気粉塵中微量元素のリアルタイム分析による発生源の推定
Project/Area Number |
22550081
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
古田 直紀 中央大学, 理工学部, 教授 (90101055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 美成 中央大学, 理工学部, 助教 (40469987)
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Keywords | ナノ粒子 / リアルタイムモニタリング / ナノスケール大気粉塵 / 大気粉塵一粒子計測 / ICP直接導入 / スパイク状信号の校正 / 鉛濃度 / 微量元素濃度 |
Research Abstract |
【装置の校正】 装置校正のため、超音波ネブライザー(USN)及び脱溶媒装置から導入したエアロゾル状のCrと、標準ガス発生装置から導入したCr(CO)_3ガスの信号強度の比較からUSNの導入効率を正確に求めた。同様にUSNから噴霧されたエアロゾルをシリンジフィルター上に捕集した。これを0.1M HNO_3 10mLを用いて抽出を行い、抽出物の信号強度からPbを含む12元素(Cr,Ti,V,Mn,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Sb,Ba,Pb)の導入効率を算出した。標準ガスを用いて算出したUSNのCr導入効率及びフィルター捕集により算出したUSNのCr導入効率は、それぞれ11.1±0.1及び11.6±0.1%と良い一致を示した。同様に、フィルター捕集により算出した導入効率はCr及び検討を行ったその他11元素で良い一致を示した。 【粒径1.0μm以下の大気粉塵のリアルアイムモニタリング】 インパクターを通して粒径く1.0μmのAPMを選定し、その一部を分岐させた。その後、ガス交換器を通してガス分子を空気からArに変換させ、ICPMSに直接導入し、リアルタイム測定を行った。同時にAPMをニトロセルロースフィルター(孔径0.025μm)上に捕集した。測定終了と同時にフィルターを回収し、マイクロ波分解を行った。測定はPbを含む15元素の多元素分析を行った。リアルタイム測定及びフィルター捕集による平均濃度は7元素で良い一致を示したが、残りの8元素では一致しなかった。酸化物の融点及び沸点が低い元素は62-132%と比較的良い回収率を示したが、酸化物の融点及び沸点の高い元素に関しては回収率が50%以下であった。このことから、APMがICPMSのプラズマに導入された際に酸化物として存在している元素が完全に気化されていない可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
15元素についてリアルタイムモニタリングを行った結果、酸化物の融点及び沸点の低い元素については正確なリアルタイムモニタリングができることを明らかにした。しかし、酸化物の融点及び沸点の高い元素についてはプラズマ中で完全にイオン化していないことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化物の融点及び沸点が低い元素については、リアルタイムモニタリングを継続して行う。そして、風向、風速、降雨等の気象要素との相関を解析することにより、ナノスケール大気粉塵の起源を明らかにする。 酸化物の融点及び沸点の高い元素のモニタリングを行う場合には、プラズマ温度を上げるためにICPMSのRF Powerを増加させることやプラズマ内の滞留時間を増加させるためにキャリアガス流量を減らしたり、サンプリング位置を調節する方法が考えられる。
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Research Products
(18 results)