2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550084
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
矢野 和義 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (40262109)
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Keywords | プロテオミクス / プラズマ重合 / 分析化学 / 薄膜 / 蛍光 |
Research Abstract |
本研究で作製するナノ構造基板とは、ガラス基板上などに金属と誘電体の各薄膜を順次積層させることで、その上に存在する蛍光色素からの蛍光強度を数十倍にも増強させることのできる基板である。ここでは特にスパッタ法によって銀(Ag)を用いた金属膜を、またプラズマ重合法によってヘキサメチルジシロキサン(hexamethyldisiloxane:HMDS)をモノマーとした誘電体膜を作製した。誘電体膜の膜厚の計測には、計測に適した基板であるシリコン基板を使用し、最終的にスライドガラス上にナノ構造を構築した。 ガラス基板上に製膜したAg膜の膜厚と製膜時間の関係をグラフ化したところ、相関係数0.9994という高い相関性が示された。また同様に、HMDSの膜厚とプラズマ重合時間の関係も、相関係数0.9973という高い相関性が得られた。これらの結果より、スパッタリング時間またはプラズマ重合時間と各膜厚は比例関係にあることが示され、良好な検量線を得ることができた。 こうした知見をもとに、様々なHMDS膜の膜厚を持つナノ構造基板上にCy3標識抗mouse IgG抗体をスポッティングし、HMDS膜の膜厚と蛍光増強度の関係を調べた。1.6μg/mlのCy3標識抗mouse IgGを用いたとき、蛍光強度はHMDS膜の膜厚に依存し、HMDS膜が63nmのときに蛍光強度は最も増強された。未修飾のガラス基板と比較したところ、蛍光強度は約30倍に増強されることが確認できた。以上の結果から、プラズマ重合法を用いてHMDS膜の膜厚を50~70nmにすることにより、蛍光増強基板はガラス基板よりも蛍光強度を最大で約30倍に増強できることが確認された。
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