2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の溶存構造解析用実験室系in-situX線吸収スペクトル測定装置の開発
Project/Area Number |
22550088
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
栗崎 敏 福岡大学, 理学部, 助教 (20268973)
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Keywords | X線吸収スペクトル / in-situ / 溶存構造解析 / 金属錯体 |
Research Abstract |
本年度は実験室系in-situX線吸収スペクトル測定装置を製作するため、昨年度X線源とし購入したMOXTEX社製X線管Miniature PSを購入した業者にこのX線源のコントローラーを発注する予定であった。しかし、その業者が今年度からMOXTEX社製品の取り扱いを中止したため、新たにMOXTEX社製品を取り扱っている裳者を選定しX線源コントローラーFTC-200の購入を行った。昨年度と今年度で購入したMOXTEX社製X線管Miniature PSおよびX線源コントローラーFTC-200と高感度X線検出器を用いて実際のill-situ X線吸収スペクトル測定装置の基本配置などの設計を行った。 次に、測定に使用する各種銅(II)錯体を合成するために、9,10,11,12員トリアザ環にペンダント基として3個メチル基を導入した配位子の合成を行った。得られた配位子を用いて各種銅(II)錯体の合成を行った。得られた銅(II)錯体を触媒として用いてリン酸ジエステルの加水分解反応を行い反応速度定数の決定を行った。その結果、メチル基を導入することで銅(II)錯体の触媒能の向上が観測された。 また、合成した各種銅(II)錯体の単結晶化を行った結果、メチル化した9および12員環銅(II)錯体の単結品が得られた、得られた銅(II)錯体の結晶構造解析を行ったところ、これらの銅(II)錯体は歪んだ五配位四角錐型構造を取っており、中心の銅(II)イオンは塩素やシュウ酸で架橋した二核錯体構造を取っていることが明らかとなった。 合成した銅(II)錯体の溶存構造解析を行うために紫外可視吸収スペクトルおよびESRスペクトル測定を行った。その結果、9員環銅(II)錯体は水溶液中で四角錐型構造を取っていることが推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、まず前年度購入したMOXTEX社製X線源用のコントローラーを昨年度と同じ。業者から購入予定であった。しかし、この業者が、今年度からMOXTEX社製品の取り扱いを取りやめ)たため、取扱業者の選定からやり直す必要が生じ、最終的にコントローラーの納入が当初予定より数ヶ月遅れたために全体的な計画がやや遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに購入したX線源等を用いてin-situ X線吸収スペクトル測定装置の製作を行う。その後、製作した装置を用いて銅箔などの標準試料を測定し、放射光施設で測定した結果と比較検討しその性能評価を行う。その後、我々が合成した各種銅(II)錯体のX線吸収スペクトル測定を行い、水溶液中の銅(II)錯体の溶存構造解析を行い、溶存構造と触媒能との相関を明らかにする。その後、得られた結果を基により高い触媒能を持つことが期待される新規銅(II)錯体の分子設計を行う。
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Research Products
(4 results)