2012 Fiscal Year Annual Research Report
閾値エネルギー解離質量分析法を用いた低分子有機化合物同定法の開発
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22550090
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中村 健道 独立行政法人理化学研究所, 物質構造解析チーム, 専任研究員 (10360611)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 質量分析 / 閾値エネルギー解離 / 異性体識別 / タンデム質量分析法 / フラグメンテーション / 中性種脱離 / 異性化 / イオンモビリティー分析 |
Research Abstract |
エレクトロスプレイイオン化(ESI)質量分析法は,多くの生体関連物質を含む難揮発性低分子有機化合物の分析に広く用いられるが,本法で得られる精密質量測定値のみからでは組成を同じくする異性体の相互識別は不可能である.異性体の弁別と化合物同定にはタンデム質量分析(MS/MS)によって得られるフラグメンテーション情報が必須となるが,ESI 法と組合せて通常用いられる低エネルギー衝突活性化法による MS/MS スペクトルは測定条件及び装置に依存して大きく変化するため,スペクトルパターンのライブラリ検索では化合物同定は行えない.これに対し,閾値エネルギー解離質量分析法では,化合物(もしくは特定のイオン構造)ごとに固有の値となる最小閾値解離反応エネルギーとプロダクトイオン質量の双方を指標にすることで,スペクトルパターンに依存しない化合物同定が可能である. 最小閾値解離反応を用いた化合物同定において考えなければならない問題の一つとして,互いに異性体の関係にある前駆イオンが,ありふれた中性種を脱離することで全く同じ質量のプロダクトイオンを与えるケースが挙げられる.この問題の解決策を見出すため,脱水・脱アンモニア等の中性種脱離を示すモデル系について検討した.その結果,互いに異性体の関係にある前駆イオンが同じく異性体の関係にあるプロダクトイオンを与えるため前駆イオンおよびプロダクトイオンいずれの精密質量からも識別が不可能であっても,脱離反応の閾値エネルギーに有意な差が認められる場合はそれをもとに異性体の弁別が可能であることがわかった.さらに,異性体の関係にあるプロダクトイオンが生じた場合,それらをイオンモビリティー分析(IMS)により分離可能であり,中性種脱離やイオン異性化がメインとなる系において閾値エネルギー分解 IMS/MS/MS 法が化合物同定法として有用であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)