2011 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素結合の切断を経る革新的アリールカップリング反応の開発
Project/Area Number |
22550093
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大井 秀一 東北大学, 環境保全センター, 教授 (00241547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 徹雄 東北大学, 環境保全センター, 助教 (70369924)
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Keywords | 遷移金属錯体 / クロスカップリング / 炭素水素結合 / 炭素炭素結合形成 / ルテニウム錯体 / 誘導基 / 芳香族化合物 / オルト位選択的 |
Research Abstract |
遷移金属触媒を用いて不活性な芳香環のC-H結合を切断し新たにC-C結合を形成する反応は、有機合成化学上有用な手法である。特に、異なる芳香族化合物の混合物から選択的にクロスカップリング反応のみを進行させることは極めて困難で挑戦的な課題である。本研究課題では、二種類の芳香族化合物間でのC-H結合の切断と新たなC-C結合の形成を伴ったクロスカップリング反応に関して、効率よく反応が進行する条件と芳香族化合物の適用範囲の検討を行った。 触媒[RuCl_2(cod)]_2存在下、配位子としてトリフェニルボスフィン、塩基として炭酸カリウム、水素捕捉剤としてメタリルアセテートを用い、二種類の芳香族化合物、モレキュラーシープ4Aをメシチレン溶媒中、窒素気流下、160℃で20時間撹搾し反応を行った。相対的に嵩の低いオキサゾリニル基やアゾール基のような五員環を誘導基とする芳香族化合物と、嵩高い六員環のピリジル基を誘導基とするフェニルピリジン類との間において選択的にクロスカップリング反応が進行した。これは、反応性の高いフェニルピリジン類が先に反応するものの、その立体的な嵩高さからホモカップリング反応は抑制され、続いて嵩の低い五員環誘導基を有する化合物と反応したためと考えられる。 芳香族化合物の適用範囲の検討を行ったところ、3-メチル-2-フェニルピリジンや嵩高い1-ナフチルピリジンのような基質でも、非常に良い収率でクロスカップリング生成物が得られた。いくつかのアリールアゾール類も反応に用いることが出来た。 以上、本研究課題では、ルテニウム触媒を用いて種々の芳香族化合物間でC-H結合の切断と新たなC-C結合の形成を伴ったクロスカップリング反応が効率的に進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度に行ったオルト位選択的な芳香族化合物の直接ホモカップリング反応を拡張し、平成23年度では、オルト位選択的な芳香族化合物の直接クロスカップリング反応について、当初の予定どおりに最適反応条件を決定し本反応をいくつかの芳香族化合物に適応できることを明らかにしており、計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に検討したオルト位選択的な芳香族化合物の直接クロスカップリング反応に関して次の2点について検討する。(1)芳香族化合物の組み合わせをさらに種々検討し、本反応の適用範囲のさらなる拡張を図る。(2)芳香族化合物の組み合わせによりクロスカップリング反応以外にホモカップリング反応も併発するケースについては、反応のさらなる選択性の向上を目指す。 また、上記の検討の過程で生成物の収率および選択性の向上にむけて多少の反応条件の検討が必要と判断される場合には、併せて反応条件の再検討も実施する。
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Research Products
(4 results)