2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルキニルイミンを出発物質に用いる新規反応機構を基軸とする含窒素化合物の合成研究
Project/Area Number |
22550096
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
八谷 巌 三重大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50312038)
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Keywords | β-ラクタム / 含窒素化合物 / シクロブテノン / 不斉還元 / イミン / ケチミン / リン酸ジエステル触媒 / 共役付加反応 |
Research Abstract |
抗生物質の代表的な骨格を有するβ-ラクタム化合物合成法の開発は非常に重要であり、またβ-ラクタム化合物以外の含窒素化合物を立体選択的に合成するための有用なビルディングブロックとして多数のβ-ラクタム化合物が用いられている。一方、研究代表者らはイミノシクロブテノンの還元反応によって得られるアミノシクロブテノンの熱的開環-閉環反応によるラセミ体のcisおよびtrans-β-ラクタム化合物の高ジアステレオ選択的合成法を見出している。そこで平成22年度は、キラルなリン酸ジエステル触媒を用いる、イミノシクロブテノンの不斉還元反応によるキラルなアミノシクロブテノンを経るキラルなβ-ラクタム化合物合成法の開発を行った。まず、塩化アルミニウムを活性化剤に用いるケテンシリルアセタールのアルキニルケチミンへの共役付加反応により様々な置換基を有するイミノシクロブテノンを合成した。(R)-ビナフトールから調製したキラルなリン酸ジエステル触媒の存在下、Hantzschエステルを還元剤に用いるイミノシクロブテノンのイミノ基選択的不斉還元反応を行った。その結果、3および3'位の置換基としてフェニル基および2-ナフチル基を有するリン酸ジエステル触媒を用い還元反応を行うことにより、それぞれ不斉収率49%eeおよび66%eeで対応するキラルなアミノシクロブテノンを得ることができた。不斉収率の向上を目指し種々反応条件を検討した。その結果、フェニル基を有するリン酸ジエステル触媒の存在下、還元剤としてHantzschエステルに替えベンゾチアゾリンを用いることにより、不斉収率96%eeで対応するアミノシクロブテノンを得ることができた。さらに、得られたキラルなアミノシクロブテノンの熱的開環-閉環反応により、光学純度を損なうことなくシス選択的に対応するβ-ラクタムを得ることができた。
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Research Products
(7 results)