2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルキニルイミンを出発物質に用いる新規反応機構を基軸とする含窒素化合物の合成研究
Project/Area Number |
22550096
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
八谷 巌 三重大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50312038)
|
Keywords | β-ラクタム / 含窒素化合物 / シクロブテノン / 不斉還元 / イミン / ケチミン / リン酸ジエステル触 / 共役付加反応 |
Research Abstract |
研究代表者らはイミノシクロブテノンの還元反応によって得られるアミノシクロブテノンの熱的開環-閉環反応により、抗生物質の代表的な骨格の一つでありかつ含窒素化合物を立体選択的に合成するための有用なビルディングブロックである、ラセミ体のcisおよびtrans-β-ラクタム化合物の高ジアステレオ選択的合成法を既に見出している。平成22年度はエナンチオ選択的還元によるキラルなβ-ラクタム環化合物の合成の開発を行った結果、フェニル基を有するリン酸ジエステル触媒の存在下、還元剤としてベンゾチアゾリンを用いることにより、高エナンチオ選択的に対応するアミノシクロブテノンを得、引き続く熱的開環-閉環反応によりキラルなcis-β-ラクタム化合物が得られることを見出していたが、不斉還元反応の収率は未だ満足できるものではなかった。そこで平成23年度は、収率の向上を目指しさらに反応条件の検討を行った結果、溶媒にキシレンを用いることにより収率よくキラルなアミノシクロブテノンが得られることを見出した。さらに、得られたキラルなアミノシクロブテノンの1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)の存在下、熱的開環-閉環反応により、光学純度をほぼ損なうことなくtrans選択的に対応するキラルなβ-ラクタムが得られることも明らかにした。また、アルキニルイミンとケテンシリルアセタールとの共役付加反応を、マイクロリアクターを用い行った結果、出発物質であるイミノシクロブテノンが得られることも見出し、フロー合成によるイミノシクロブテノンの合成法も開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フェニル基を有するリン酸ジエステル触媒の存在下、還元剤としてベンゾチアゾリンを用いるエナンチオ選択的還元の収率の向上に時間を要した結果、計画にやや遅れを生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画の各研究テーマに、当研究室の本学大学院工学研究科の大学院生1名ずつを割り当て、申請者の統括・指導の下、研究を遂行していたが、計画にやや遅れが生じたので、各研究に参加する大学院生の人数を1名ずつ増員し、24年度でその遅れの回復を図る。
|
Research Products
(11 results)