2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 康嗣 京都大学, 工学研究科, 講師 (60422979)
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Keywords | 還元的芳香族化 / 非平面性 / パイ共役 / アントラセン / フラーレン / 包接 |
Research Abstract |
非平面性のパイ共役部位を有する分子は一般にその合成が困難である。それ故、非平面性のベンゼン環や曲がったアルキンなどを含む分子の合成やそれら分子の持つ物性に古くから興味がもたれていた。本研究代表者は、還元的芳香環形成反応を利用することで非平面性ベンゼン環の構築に成功している。平成22年度において、研究代表者は本手法を利用し、フラーレンを包接するアントラセン含有環状分子、サイクリン類の合成に成功した。また上記フラーレン包接サイクリンがより大きなアントラセン含有サイクリンにより包接されることも明らかにした。本成果によりアントラセンのようなアセン構造を有する非平面性パイ共役系分子の構築が可能であることが示された。またフラーレン包接現象が観測されるなど、パイ電子を利用した興味深いホスト-ゲスト挙動は今後の検討課題であると言える。 次にサイクリン前駆体分子の収率が低いことが分かっていたため、その収率向上を目指した。その結果、段階的に合成を行うことで収率は格段に向上し、従来の約2.5倍の効率でサイクリンを得ることに成功した。本手法を用いれば、部分的に異なる芳香環を有するサイクリンの構築も可能となる。実際に、一部1,3-フェニレン部位を含む環状サイクリンの合成にも成功した。また従来法では低収率となるトラン部位を含む環状サイクリンの合成にも成功した。この手法はサイクリン前駆体分子構築を効率良くするだけでなく、非対称性サイクリンの構築にも利用できることから次年度以降に取り組む多機能化されたサイクリン創製の足掛かりになると言える。
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Research Products
(2 results)