2010 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性脱水素錯体触媒を活用する均一系可逆的脱水素化/水素化反応の開発と展開
Project/Area Number |
22550098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 良平 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40115960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 健一 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (80293843)
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Keywords | イリジウム / 脱水素化反応 / 水素化反応 / 含窒素複素環 / 水素貯蔵システム / 有機ヒドリド |
Research Abstract |
クリーンエネルギーとして重要な水素の高度利用のために、効率的かつ安全に水素を貯蔵できるシステムの構築が望まれている。その中で有機化合物を貯蔵媒体とする有機ヒドリド系水素貯蔵システムが注目されている。本研究は、その基盤となる有機化合物の可逆的な脱水素化と水素化反応の両方を効率的に達成する有機金属触媒の創製と可逆的触媒反応系の開発を目的として遂行している。 最近本研究者は、2-ピリドネート配位子を有するCp*イリジウム錯体触媒を用いた含窒素複素環の脱水素化反応及び水素化反応を見出し、テトラヒドロキノリン-キノリン間の可逆的脱水素化/水素化による相互変換が、水素の放出と吸収を伴って、定量的に繰り返し行えることを報告した。これを基盤とし本年度は、1)より高性能の錯体触媒の設計と合成、2)水素含有率の高い含窒素複素環の脱水素化触媒系の構築、について検討した。 まず、機能性ビピリジン系配位子を有する新規イリジウム錯体触媒の合成に着手し、[Cp*IrCl_2]_2と6,6^<1>-ジヒドロキシ-2,2^1-ビピリジンとの反応によって新規カチオン性錯体を得た。次に、このカチオン性錯体に対し配位子L(アニリン、ピリジン、ジメチルスルポキシド)の存在下で塩基を作用させることにより、新規中性錯体Cp*Ir(2,2^1-bipyridonate)(L)へと誘導した。続いて、本新規中性錯体の触媒性能を調査するため、2,6-ジメチルデカヒドロ-1,5-ナフチリジン(水素含有率:6.0%)の触媒的脱水素化を行ったところ、キシレン還流条件下の反応により5当量の水素ガスの発生を伴って2,6-ジメチル-1,5-ナフチリジンへとほぼ定量的に変換された。また、水素化反応についても検討した。 本研究結果について、日本化学会第92春季年会において発表をした。
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