2011 Fiscal Year Annual Research Report
ビニリデン金属錯体を鍵中間体とするレジオ選択的炭素-炭素結合生成反応の開発
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22550100
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福本 能也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50273595)
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Keywords | レニウム触媒 / 末端アルキン / イミン / アリルアミン / ビニリデン金属錯体 |
Research Abstract |
本年度は、当初の目的のとおりレニウム触媒による末端アルキンとイミンとの新規カップリング反応についての研究を行った。まずいくつかのイミンについて検討したところ、イミン窒素上の置換基の選択が重要であることがわかった。例えば、ブチル基を持つイミンでは全く反応が進行せず、ベンジル基では低収率であった。様々な検討により、ジフェニルメチル基が置換したイミンを用いた時、最もよい収率で目的生成物であるアリルアミン誘導体が得られた。続いて種々のアルキンとの反応を検討した。その結果、1級および2級のアルキル置換アセチレンや芳香族アセチレンでは反応が効率よく進行した。さらに、エステル基やシアノ基などのいくつかの官能基があっても問題なく反応が進行した。しかし、3級アルキル置換したアセチレンやシリルアセチレンなど、かさ高い置換基を有するアセチレンでは目的の反応は全く進行せず、従来知られているプロパルギルアミン誘導体が得られるのみであった。さらに反応機構の知見を得るために、重水素標識実験を行った。まず、イミン置換基のα-水素を重水素に置き換えたものを用いて実験を行ったところ、想定している反応機構どおりの位置に重水素が取り込まれた生成物のみが得られた。また、末端アルキンの末端水素を重水素化したものでもやはり反応機構どおりの位置に重水素が取り込まれ、反応機構の妥当性を示すことができた。これらの結果を論文としてまとめ、速報として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した内容をすべて達成することができ、論文も投稿したことから、おおむね順調に研究が進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により、新しい素反応を鍵過程に含む触媒反応を見い出すことができた。来年度もこの概念をさらに展開する予定であり、滞りなく研究が遂行できるものと考えている。
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Research Products
(14 results)