2010 Fiscal Year Annual Research Report
配位不飽和二核ニッケル錯体を鍵とする協奏触媒開発と汎用性触媒系の開拓
Project/Area Number |
22550104
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松原 公紀 福岡大学, 理学部, 准教授 (00294984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 裕二 福岡大学, 理学部, 助教 (60373148)
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Keywords | ニッケル1価錯体 / 協奏的触媒作用 / 2核錯体 / Kumadaクロスカップリング / Buchwald-Hartwigアミン化 |
Research Abstract |
平成22年度は、ニッケル2核錯体を触媒とするKumada-Corriu反応の触媒過程の機構解明を目標として研究を行った。NMR測定により低温での速度論解析を行い、素反応過程の一つについて活性化エネルギーを決定し、中間体の可能性を提案できた。非常に速いプロセスであることから、この素反応過程が触媒プロセスに含まれている可能性の高いことを明らかにした。すなわちこの触媒系は安定な2核ニッケル1価錯体から、酸化的付加により不安定なニッケル3価錯体の生成を経由するのではなく、準安定なニッケル2価錯体の会合体を形成することでスムーズな反応を可能にしており、2核錯体を経由することによる反応エネルギーの大きな安定化が示唆される。また、同時に汎用性触媒系開拓のため、ニッケル1価NHC/ホスフィン錯体の合成、構造決定を行い、それがGrignard試薬の存在下でホスフィンを遊離し、定量的に2核錯体へ変換されることを明らかにした。また、このニッケル1価錯体をKumada-Corriu反応の触媒として適用し、高い触媒活性を明らかにした。アリールハライドのアミン化反応においても良い触媒となり、特にこの触媒反応の活性に乏しいジアリールアミン類からトリアリールアミン類が容易に生成するプロセスを発見した。この反応は通常100℃以上の加熱が必要であるが、高い触媒活性のために条件・基質によっては室温付近でも反応が起こることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)