2010 Fiscal Year Annual Research Report
棒状高分子の示すスメクチック液晶相をテンプレートに用いたナノ構造構築と機能の解明
Project/Area Number |
22550108
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大越 研人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特任准教授 (60500139)
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Keywords | 液晶 / スメクチック相 / 枯渇作用 / 相分離 / 金属ナノ微粒子 / ナノラインパターニング / 可視光ワイヤーグリッド偏光子 / ニッケル無電解めっき |
Research Abstract |
本研究は、(1)分子量分布の非常に狭い棒状らせん高分子の形成するスメクチック相をテンプレートに用いた、スメクチック層間へのナノ相分離構造形成における自発的な構造形成のメカニズムを解明し、(2)発現する10-50nmのメゾスコピック領域の層間隔を有する巨大スメクチック相を、基板上に高度に配向を制御して展開、テンプレートとして用いて、可視光ワイヤーグリッド偏光子への応用を検討することを目的として実施した。 まず、(1)を目的として、スメクチック液晶相の層間に混合した物質が分離するメカニズムを探るため分子量の異なる種々のアルカンの系統的な混合実験を行った。その結果、混合するアルカンの分子量が小さいと全体に均一に分散するが、分子量が大きくなるにつれて枯渇作用が働いてスメクチック層間への選択的な分離が起こり、炭素数26程度でレイヤースペーシングが最大となる事を見出した。 次に、(2)を目的として、棒状らせん高分子を液晶配向膜付きガラス基板に展開し、その配向挙動をAFMにより観察した。その結果、スメクチック液晶相が、用いたキラル(S体)高分子の左巻きの側鎖らせんの溝をラビング方向に直交させて、右に33度傾いて高度に配向すること、また右巻き左巻きらせんの混合物であるアキラル体の高分子を用いると、右巻きと左巻きらせんの高分子が分離して、それぞれ左右に33度傾いたドメインを形成する事を明らかにした。また、(1)の検討過程で、ある種の高級脂肪酸がほぼ完全にスメクチック層間に分離し、基板上で高度に配向することを見出しており、カルボン酸がニッケル無電解めっきの触媒であるパラジウムと強い錯形成能があることから、より安価簡便なニッケル無電解めっきプロセスを用いたナノラインパターニングに方針を変更して検討を継続している。
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Research Products
(5 results)