2011 Fiscal Year Annual Research Report
棒状高分子の示すスメクチック液晶相をテンプレートに用いたナノ構造構築と機能の解明
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22550108
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大越 研人 千歳科学技術大学, 総合光科学部, 准教授 (60500139)
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Keywords | 液晶 / スメクチック相 / 枯渇作用 / 相分離 / 金属ナノ微粒子 / ナノラインパターニング / 可視光ワイヤーグリッド偏光子 / ニッケル無電解めっき |
Research Abstract |
本研究は、(1)分子量分布の非常に狭い棒状らせん高分子の形成するスメクチック相をテンプレートに用いた、スメクチック層間へのナノ相分離構造形成における自発的な構造形成のメカニズムを解明し、(2)発現する10-50nmのメゾスコピック領域の層間隔を有する巨大スメクチック相を、基板上に高度に配向を制御して展開、テンプレートとして用いて、可視光ワイヤーグリッド偏光子への応用を検討することを目的として実施した。 前年度までに、(1)を目的として、分子量の異なる飽和炭化水素(アルカン)をスメクチック相に混合した系統的な実験を行い、分子量が小さいと系全体に均一に分散して溶媒として働くのに対し、分子量が大きくなると枯渇作用が働いてインターレイヤースペースに選択的な分離が起こり、さらに分子量が大きくなるとマクロな相分離が起こる事を見出している。 このとき、レイヤースペーシングが最大となるのはアルカンの炭素数が30程度であるが、これらの化合物は室温では結晶で、スメクチック相と分離して結晶化しており、製造プロセスにおいて基板上に展開するには不利である。 そこで、昨年度は(2)を目的として、室温で液体であり、なおかつ同様な枯渇作用による分離構造を示す化合物の探索を行った。その結果、炭素数30の分岐アルカンであるスクワラン(融点:-38℃)が、ほぼ定量的にインターレイヤースペースに分離し、なおかつ基板上で高度に配向することを見出した。 今年度は(3)を目的に、同様な分岐アルカンでの分子挙動の定量的な調査と、ニッケル無電解めっきプロセスを用いたナノラインパターニングへの応用を視野に入れた分岐高級脂肪酸の探索を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標の、枯渇作用による自発的な構造形成挙動が、分子量の異なるアルカンのスメクチック相形成挙動を詳細に調べる事によりかなり明らかにする事ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
炭素数30程度の分岐アルカンが室温でほぼ理想的な分離構造、および基板上での配向を示す事が分かったため、同様な分岐飽和脂肪酸の探索を行い、ニッケル無電解メッキによるパターニングの可能性を調査する。
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