2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550109
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宍戸 厚 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (40334536)
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Keywords | ホログラム / 高分子 / アゾベンゼン / 光 / フィルム |
Research Abstract |
本課題では,光で駆動可能な液晶高分子周期構造体を作製し,光駆動型ホログラムの創製を行う。光応答性液晶高分子の三次元周期構造体に紫外・可視光を照射し,ナノ周期構造の可逆的な変形を誘起する新しい作動原理を用いることにより,ナノ光アクチュエーターや光スイッチを実現すると同時に,未知な点が多い高分子の微小変形現象を容易に解析する新手法を提供することを目的とする。 当該年度では,アゾベンゼンを含む架橋強誘電性液晶高分子フィルムの作製を主に検討した。光応答分子であるアゾベンゼンが架橋部位と側鎖部位の異なる箇所に存在する二種類のフィルムを作製しその光応答挙動を検討したところ,架橋部位にアゾベンゼンを有するフィルムは照射UV光源に向かって屈曲するのに対して,側鎖部位にアゾベンゼンを有するフィルムは照射UV光源を避けるように屈曲することが明らかとなった。さらに,架橋液晶高分子フィルムが屈曲するプロセスにおけるナノスケールの分子形状変化とマクロなフィルム変形挙動とのつながりを光学的に計測したところ,アゾベンゼンのシス体の生成量がわずか1 mol%の低濃度であっても屈曲は起こりうる事がわかった。また同時にフィルムのヤング率が最大60 %減少する事を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前半においては架橋液晶高分子フィルムの基材となるモノマーおよび架橋剤の調製およびフィルム作製に時間を要したため,研究の進捗に遅れが発生した。また,フィルムのアゾベンゼンの異性化挙動を力学物性の同時計測光学系の構築にも予定より長い時間を要した。しかしながら後半では,作製したフィルムの光応答挙動を新たな光学系により測定した結果,光照射に伴いヤング率が大きく減少する現象や従来とは異なる方向への屈曲現象を新たに見いだし,従来の仮説を打ち破る成果を得る事ができた。総合的に計画以上の進展が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
架橋液晶高分子フィルムであっても分子構造によっては屈曲挙動が大きく異なる事が明らかとなった。今後は分子構造と屈曲挙動の相関を詳細に検討する予定である。また現在のところ,屈曲を誘起する照射光には紫外光を用いている。今後は近赤外光など様々な波長を用いて検討する事によって,より幅広い光応答材料の構築を検討する。
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