2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550110
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 敬人 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90126954)
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Keywords | シス特異的トポケミカル重合 / 電荷移動錯体 / 交互共重合 / 結晶構造解析 / 立体構造制御 / 不斉重合 / キノイド化合物 / 不斉配位子 |
Research Abstract |
種々のアルコキシ基を有する7,7,8,8-テトラキス(アルコキシカルボニル)キノジメタン類(RCQ)が電子受容性の強いテトラシアノキノジメタン(TCNQ)との電荷移動相互作用を利用して電荷移動錯体共結晶を作製し、その固相重合反応性と結晶構造について調査した。直鎖のアルキル基を有するRCQはTCNQと赤色・橙色の柱状結晶を形成した。一方、枝分かれ構造や長鎖アルキル基、末端に大きな原子を有するRCQを用いた場合、TCNQとの共結晶は得られず、RCQの置換基の立体障害が共結晶形成の妨げになることが分かった。得られた共結晶は光照射または加熱によりトポケミカル重合が起き、有機溶媒に不溶な淡桃色結晶が得られた。単結晶X線構造解析より共結晶の結晶構造はいずれもRCQとTCNQが約60°ねじれて交互にスタッキングしており、光照射または加熱により交互共重合体を生成していることが明らかになった。また、これまでに見出しているキノジメタン類が示すトランス特異的なトポケミカル重合とは異なり、RCQとTCNQがそれぞれ逆方向に回転することで結合を形成するシス特異的なトポケミカル共重合を示す初めての例を見出した。 シアノ基とアルコキシカルボニル基、ハロゲン置換フェニル基を有する置換キノンメチド化合物の光学活性開始剤を用いた光学活性ポリマー合成と構造制御について検討した。(-)-Spと(-)-PhBox不斉配位子/リチウムイソプロピルフェノキシドを開始剤とした不斉アニオン重合を行った。不斉配位子に(-)-Spを用いた場合、値は小さいものの、負の旋光度を有するポリマーが、(-)-PhBoxを用いた場合には他の系と比べて非常に大きな正の比旋光度を有するポリマーが得られた。生成ポリマーの比旋光度の値への開始剤濃度や溶媒の極性の効果から、成長鎖末端の会合体の形成が立体制御に大きく影響していることが示唆された。重合の初期生成物である1量体、2量体の立体選択性について検討した結果、光学活性ポリマー主鎖中の不斉炭素の絶対配置は、おおよそ2:1程度の割合で制御されていることが分かった。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Cis-Specific Topochemical Polymerization : Alternating Copolymerization of 7,7,8,8-tetrakis(methoxycarbonyl)quinodimethane with 7,7,8,8-Tetracyanoquinodimethane in the Solid State2011
Author(s)
T.Itoh, T.Suzuki, T.Uno, M.Kubo, N.Tohnai, M.Miyata
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Journal Title
Angewandte Chemie International Edition
Volume: 50
Pages: 1-6
Peer Reviewed
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