2011 Fiscal Year Annual Research Report
感光性自己組織化単分子膜の高機能化と有機薄膜トランジスタ作製への応用
Project/Area Number |
22550114
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
山口 和夫 神奈川大学, 理学部, 教授 (20114902)
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Keywords | 高分子合成 / 超薄膜 / ナノ材料 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
我々が開発した光分解性の2-ニトロベンジルエステルとしてカルボキシ基を保護したシランカップリング剤1を用いると、得られる感光性の自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer,SAM)は、フォトマスクを用いた紫外線照射によって露光された領域にのみ親水性のカルボキシ基を生成する。さらに、1の芳香環の4,5位にパーフルオロアルキルオキシ基を導入したシランカップリング剤2のSAMの光照射前後の疎水性と親水性の大きな差を利用することにより、有機薄膜トランジスタ(Oraganic Thin Film Transistor,OTFT)を作製する新たな方法の可能性を見出している。本研究では、感光性シランカッリング剤に含まれる2-ニトロベンジルエステルのベンジル位の置換基および芳香環上の置換基、スペーサーのメチレン鎖長などを検討することによって、光照射に対してより高感度のシランカップリング剤の設計・合成を行い、得られる光分解性SAMをOTFT作製へ応用することを目的とした。1の2-ニトロベンジルエステルの芳香環の4,5位にメトキシ基を導入し、そのベンジル位の置換基Rを変化させた3の溶液中での光分解速度定数をHHPLCで正確に求めたところ、置換基が嵩高くなるほど大きくなることがわかった(Rがメチルくエチル=プロピルくイソプロピル<t-ブチルの順)。この結果は、前年度にUVスペクトルの変化から見積もった速度の結果を支持している。3のモデル化合物として、安息香酸誘導体4を合成し、X線結晶構造解析を行なったところ、分解速度の大きな嵩高い置換基を持つものは、カルボニル基の結合距離が短いことがわかった。また、スペーサーのメチレン鎖長を変化させると、溶液中では光分解速度が変わらないのに対し、SAM上での光分解は、メチレン鎖長が長いほど遅くなることがわかった。そこで、ベンジル位にイソプロピル基が置換して、3,4位にパーフルオロアルコキシ基を導入したメチレン鎖長が短いシランカップリング剤5の合成ルートを種々検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光分解速度に及ぼすベンジル位の置換基、およびメチレン鎖長の影響については、詳細に調べることができた。しかし、新規シランカップリング剤旦の合成に手間取り、そのSAMの評価ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
5をできるだけ早く合成し、そのSAMを調製し、直接露光法によりパターニングを行ない、パターン化SAM上でのOTFTの作製、評価を行なう。また、パーフルオロアルキル基の代わりにペンタフルオロフェニル基を導入した6も合成し、それをSAMとして用いたOTFTの作製、評価を行なう。
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