2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550115
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
益山 新樹 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30157218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正治 大阪工業大学, 工学部, 講師 (30374903)
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Keywords | グリーンケミストリー / Oxone / 酸化反応 / 機能性樹脂 / エポキシ化反応 / 水媒質中の有機反応 |
Research Abstract |
本研究は、無機酸化剤であるOxoneを用いて、独自に設計した機能性両親媒性樹脂を反応場とする、水単独媒質中での、有機基質の安全かつ高効率な酸化反応システムを構築することを目的としている。 2年目にあたる今年度は、水中でのOxoneによるアルケンのエポキシ化における両親媒性樹脂、すなわち、Oxone酸化を促進するカルボニル基を含有する置換基をもつスチレンモノマー A、親水性を付与するポリオキシエチレン基をグラフトした同モノマー B、スチレンモノマーそのものC、ジビニルベンゼン架橋ユニット Dの4成分共重合体、の構造因子を検証した。昨年度はモノマー・ユニット Aに3-オキソブチル基を末端に有するテトラエチレングルコール誘導体をグラフトしたもの、ユニット Bには末端をメチル基をキャップしたテトラエチレングリコールをグラフトしたもの、を用いた樹脂の性能を評価した。これに対して今年度は、親水性はユニット Bだけでカバーすることにして、ユニット AはOxone酸化促進の役割だけを担わせることを設計指針として共重合体ビーズ状樹脂を合成した。次に、α-メチルスチレン(20mM)、Oxone(60mM)、樹脂(カルボニル基の含有量が基質に対して3当量)、pH10緩衝水溶液中、5℃、4時間の条件でエポキシ化反応を行った。その結果、各ユニット組成比A:B:C:D=19:48:31:2の樹脂1ではエポキシド収率が17%に留まり、昨年度の樹脂2(ユニット組成比は1と同じで、ユニット Aに酸化促進効果の役割を果たすカルボニル基と親水性の役割を担うテトラエチレングルコール部分を有するもの)のエポキシド収率97%に比べて顕著に低下してしまった。このことは、ポリスチレンベースの樹脂マトリックス内部でOxone酸化促進部位が親水性環境にあることが必要条件であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水媒質中でのアルケンのOxone酸化を促進する機能性両親媒性樹脂の構造最適化が本研究の到達目標であるが、これまでに親水性を付与する構造はイオン性置換基ではなく非イオン性のものがよいこと、Oxone酸化を促進するカルボニル基はポリスチレンベース樹脂のマトリックス内部で親水性環境に存在することが必要である点、を明らかにした。現時点で目標の80%程度まで近づいたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、親水性を付与するオキシエチレン単位の鎖長を変えてポリスチレンベース共重合体を合成し、水媒質中でのアルケンのOxone酸化反応における両親媒性樹脂の最適構造を決定したい。さらに、α-メチルスチレン以外の多種多様なアルケンを基質として酸化反応を検証し、本酸化反応システムのscope and limitationを明らかにしたい。
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