2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550120
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲井 嘉人 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60223210)
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Keywords | 分子機械 / ペプチド / らせん構造 / 分光学的測定 / 計算機化学 / キラル相互作用 |
Research Abstract |
本研究の主目的は、外部刺激によるらせん駆動型のペプチド系分子機械の概念を提唱し、機能化のための基礎データを構築することである。 平成22年度の研究計画に従い、(1)側鎖型不斉誘導によるらせん構造の制御、(2)包接現象を利用したらせん構造の制御、(3)らせんの巻き方向の支配因子の検証などを中心とした研究を遂行した。 側鎖に官能基や芳香族基などを有する異常アミノ酸や光学不活性アミノ酸等を用いて設計した人工らせんペプチドの合成を行った。さらに、ペプチドシーケンスの適当な位置にキラルアミノ酸や蛍光性色素などを導入したものも設計し、合成した。生成物の確認および立体構造の検証は、核磁気共鳴や赤外吸収などの分光学的測定によって行った。また、生成物のらせん構造を分子軌道計算によって評価した。 次に、キラル分子などの外部刺激を加えたペプチド溶液に対して、円二色性(CD)測定および蛍光測定を行った。外部刺激によってペプチド由来のCDスペクトルの発現や変化を観測した。特に、様々なペプチドと外部分子の組み合わせにおいて、らせんの巻き方向や偏りを誘導できることが明らかとなった。また、蛍光性色素を導入した系では、刺激によって元の発光特性が変化する系が見つかった。これらのペプチドらせんの駆動に関する知見から、分子機械創製に関する基礎データを提示することができた。成果はまだ発表準備段階であるが、その一部は第60回高分子年次大会(平成23年5月)にて発表予定である。
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