2010 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリン化学の新展開-水系から非極性溶媒系での分子認識へ
Project/Area Number |
22550122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木田 敏之 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (20234297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 満 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20145460)
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Keywords | シクロデキストリン / 非極性溶媒 / 分子認識 / 包接錯体 / ハロゲン化芳香族化合物 / 多環式芳香族化合物 / 油 / 有害物質除去 |
Research Abstract |
本研究では、非極性溶媒中で高度な分子認識能を示す革新的シクロデキストリン(CD)ホスト分子の開発とそれを用いた汚染オイル中からの有害物質の高効率除去を目的としている。本年度は、非極性溶媒中で高度な分子認識能を示すCDホスト分子の開発を目的として、種々のCD誘導体を設計・合成し、それらの非極性溶媒中での分子認識能を検討した。CDホスト分子に、6-O-tert-ブチルジメチルシリル化β-CDや6-O-トリイソプロピルシリル化β-CDといった6位修飾β-CDを用いた時、非極性溶媒中のハロゲン化ベンゼンとの顕著な包接錯体形成が認められた。特に、これらのCDホスト分子は2置換以上のハロゲン化ベンゼンと安定な包接錯体を形成することがわかった。また、用いる非極性溶媒の種類により、これらのCDホスト分子のゲスト選択性が変化することがわかった。例えば、ベンゼン中では1,2-ジクロロベンゼンよりも1,3-ジクロロベンゼンに対し高い包接選択性を示したのに対し、シクロヘキサン中ではそれらに対する包接選択性が逆転した。一方、1,2,4-トリクロロベンゼンに対しては、CD空孔内への包接モードの違いにより、ベンゼン中とシクロヘキサン中とで1オーダー異なる会合定数が観測された。これらのCDホスト分子は、非極性溶媒中の臭素化ベンゼンならびにヨウ素化ベンゼンに対しても顕著な包接能を示し、特に1,2-ジブロモベンゼンに対し高い包接能(会合定数>2500M^<-1>)を示すことが明らかとなった。さらに、これらのCDホスト分子は、非極性溶媒中でピレンやナフタレンといった多環式芳香族化合物とも包接錯体を形成し、用いる溶媒によって包接錯体の構造が劇的に変化することが分かった。
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Research Products
(8 results)