2011 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族系オニウム型イオン液体の相乗的利用による色素増感太陽電池電解質の高機能化
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22550131
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
綱島 克彦 和歌山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90550070)
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Keywords | イオン液体 / 四級オニウム塩 / 芳香族化合物 / 有機太陽電池 / 色素増感型太陽電池 / 電解質 |
Research Abstract |
イオン液体は、特殊な溶解性、不揮発性、高いイオン密度、難燃性などのユニークな物理化学特性を有するため、色素増感型太陽電池の次世代電解質として注目されている。本研究では、香族四級アンモニウム型およびホスホニウム型のイオン液体の特異性と機能性に着目し、全く新しい芳香族系イオン液体の創製およびそれを相乗効果的に用いた高機能型色素増感太陽電池電解質系の構築を試みることを目的とした。 平成23年度は本研究の三カ年計画の二年目であり、アニオン側からのアプローチを主体として、新規芳香族四級オニウム型イオン液体の創製を試みた。まず、色素増感系で効果的であるとされるニトリル基(-CN)を有するアニオン類として、N(CN)_2^-,SCN^-,B(CN)_4^-を選定して検討した。これらのアニオンに対しては、これまで報告例が極度に少ないホスホニウムカチオン系イオン液体の創製を第一段階として行ったところ、ホスホニウムカチオンとの組み合わせで熱安定性が飛躍的に向上するという知見が得られた。これは、セルの耐久性に貢献し得る重要な特性である。さらに、近年リチウム電池電解質として注目されているN(SO_2F)_2^-(FSA)をアニオンとして採用したところ、ホスホニウムカチオンとの組み合わせで低融点かつ低粘度(高導電率)のイオン液体を与えることを見出した。FSAアニオンは供給体制が確立していることもあり、一つのスタンダードとして位置づけられる。 加えて、芳香族ホスホニウム系の発展としてニトリル基をカチオンに含むホスホニウムイオン液体系や、ベンゾトリアゾレート等の新規アニオン種の開拓についても併行して検討を進めて、すでに顕著な実験的成果が得られている。これらについては、最終年度においても継続的に検討を推進し、芳香族系イオン液体をベースとする色素増感太陽電池電解質系を更に発展させていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想した程には低融点化しない等、当初の想定通りに進まなかった点もあるが、その対策として二元系への展開や種々のアニオンの探索等への進展によってむしろ研究の多様性が広がっており、全体的な研究の進行状況としては概ね順調と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、当初の研究計画に従い、基本的には大幅な変更は行わないが、高分子系との複合系への発展のみならず、更なる新規カチオン設計やアニオン種の探索も続行し、これまでに類を見ない新しい色素増感太陽電池電解質の創製を試みる計画である。
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