2011 Fiscal Year Annual Research Report
脱炭酸酵素による超臨界および高圧二酸化炭素を利用するカルボキシル化反応の開発
Project/Area Number |
22550139
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 知子 東京工業大学, 生命理工学研究科, 講師 (10319494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 理央 姫路獨協大学, 薬学部, 講師 (40454764)
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Keywords | グリーンケミストリー / 超臨界二酸化炭素 |
Research Abstract |
地球温暖化の原因物質として全世界的な問題となっているCO2を有効活用し、その削減に貢献すべく、申請者は超臨界CO2中で、どのような酵素が効率的に働くのかを検討している。本研究においても、CO2を反応物として用いる酵素反応を検討し、有用物質の合成法を見出すことを目的としている。現在までに、高圧CO2存在下における炭酸固定化反応の開発を目指し、代表的な炭酸固定化反応関連酵素であるリンゴ酸酵素を用いて検討を行い、トレハロースの添加及び固定化法により、5MPaまで安定化させることができた。さらにこの安定化方法をもとに、他の要素に対して耐性のあるイソクエン酸酵素を用いて、その発現系の構築を検討した。 好熱菌Thermoplasama acidophiliumのゲノムDNAよりPCRにて増幅したイソクエン酸脱水素酵素遺伝子(Taidh)の断片を、プラスミドベクターにサブクローニングし、構築したものを発現用大腸菌宿主に形質転換した後、IPTGを加えて培養することで、TaIDHの発現誘導を行った。発現状況をSDS-PAGEで確認すると、非形質転換体のものと比べて、発現誘導によるものと思われるバンドが確認できた。また、cell-free-extractを用いた正反応での活性測定では、非形質転換体と比べて、TaIDH誘導体で活性が10.9倍となった。 次に、CO2加圧条件下における安定性を検討するため、TaIDHの粗精製酵素溶液に、1時間加圧処理を行い、その残存活性を調べた。その結果、通常条件下で生育する生物由来の同種の酵素と比べ、CO2加圧条件下において非常に安定性が高いことが確認された。 このように、CO2高圧下でも安定性の高いイソクエン酸脱水素酵素遺伝子を活性体で発現することに成功した。今後、この発現系より得られるTaIDHを用いて、二酸化炭素固定化反応への応用を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた研究協力者の確保が困難となり、代替者確保までの間、より少人数の体制で行うこととなったため、研究に遅延が生じた。そのため、酵素の固定化につき、本年中に検討を行う予定であったが、次年度へずれ込むこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
人員の不足のため、予定していた進捗度には達しなかったものの、実験結果は、当初より予想していたものに非常に近い結果となった。よって、次年度は、実験方針は当初の予定通りで、今年度から繰り越された実験及び次年度予定されている実験を、並行して進めていく予定である。
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Research Products
(7 results)