2010 Fiscal Year Annual Research Report
酵素触媒重合法による新規バイオベースエラストマーの創成
Project/Area Number |
22550140
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松村 秀一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30051874)
|
Keywords | 環境材料 / 酵素反応 / 高分子合成 / バイオベース / エラストマー / 熱可塑性 / 架橋 / 解架橋 |
Research Abstract |
本研究では、グリーンポリマー原料としてω-ヒドロキシ酸や12-ヒドロキシステアリン酸(12HS)などバイオベースモノマーを用い、新規熱可塑性(無架橋型)ポリエステル型エラストマーの創製を行った。また、バイオベース原料を用い、ポリエステル鎖に遊離のチオールを有し、特定条件において架橋・解架橋可能な新規ポリエステル型エラストマーの酵素触媒重合法による創成を図った。 (1)熱可塑性グリーンポリエステル型エラストマーの創製 12HSと長鎖ω-ヒドロキシアルカン酸及びその環状体であるマクロリドとの酵素触媒共重合により、一連の新規ポリエステル型熱可塑性エラストマーを合成した。12HSと各種マクロリドを、固定化リパーゼを触媒として共重合を行い、分子量14~29万のランダム性の高いコポリマーを得た。DSC測定および薄膜X線回折により、12HS含量の増加に伴う融点および結晶化度の低下が確認された。コポリマー中の12HS含量の増加に伴い、ヤング率および最大応力が低下する一方、破断点伸びは増大し、エラストマー特性を示した。これらは、12HS含量が多いものほど迅速に生分解されることが見出された。 (2)架橋・解架橋可能なチオール含有グリーンポリエステル型エラストマーの創成 側鎖チオール含有ポリエステルの合成、架橋および解架橋について検討を行い、さらに架橋フィルムの機械特性および溶媒吸収能について評価を行った。具体的には、アルカンジオール及び2-メルカプトコハク酸ジメチルをリパーゼ触媒により、直接重縮合することで、分子量3万程度の一連の遊離チオール含有ポリエステルを得た。ついで室温で空気酸化することで、架橋ポリマーを得た。引っ張り試験の結果、エラストマー様の挙動を示すことが認められた。また、このものは、トリブチルホスフィンにより解架橋し、元のものと同等のポリマーが生成した。
|
Research Products
(7 results)